2018年 11月号 コンサートと服装について
本館の土曜・日曜日の貸館利用は、地域の音楽教室による発表会利用が多くなっている。それは、ピアノを通じて音楽基礎力を養うことが学校教育だけで習得できない力が備わると保護者の方が感じているからと考えられ、子どもの習い事でも男女を問わず上位にランキングされている。従来からピアノ練習を重ねることで持続力や集中力、演奏会に向けての暗記力や表現力の向上に効果があることが知られている。
欧米では音楽系の習い事を集団で教室や先生の所に通うことは少なく、先生の自宅に通うか自宅に先生に来てもらいレッスンをうけることが一般的である。一方日本での習い事は教室に通い発表会を通じて協調性を養うことに効果があると理解されている。
鑑賞事業におけるコンサートは、クラシックとポップス(ジャズを含む)に分類できるが、演奏者、鑑賞者ともポップス系はカジュアルでクラシック系は平服に準じた服装が多くなっている。クラシック音楽の演奏会では鑑賞する場合は特に決まりはなく、ドレスコード(社会の中のさまざまな場所と機会、行事や催し物、パーティなどの場面で当然、その場でしかるべきとされる服装)は無いというのが一般的な認識である。しかし、オペラ鑑賞において高額な席で鑑賞する場合、多少あらたまった服装が求められる場合がある。
演奏者の服装について、オーケストラを例にすると男性は燕尾服(男性の夜間用正式礼服)、タキシード(男性の夜間略礼服)、黒スーツ、夏の白タキシードジャケットと決まっているが、女性はスカートかパンツ、ブラウスは長袖、七分袖、五分袖、半袖、ノースリーブで、冬は上下黒で夏は白ブラウスを着用し、演奏楽器による制約とファッション性から自由になっている。そして、少人数のアンサンブルやソロでは色彩豊かなイブニングドレスを着用することもある。
発表会は演奏する幼児・児童にとっては日常とはかけ離れた特別な時間であり、数日前から緊張を強いられる機会となっている。殆どの出演者は家族で鑑賞に来館するが、服装に一体感が感じられない場合が見受けられる。
発表会で演奏する子どもたちは、スーツやドレスを着用しているが、家族の中で保護者の服装が気になることがある。外出しての家族の記念日と言えば七五三や入学式、卒業式があるが、それらと同様に男性はダークスーツにネクタイ、女性はスーツやワンピースを基準として着用することが望まれる。
また、子どもにとって発表会で演奏することは、非日常であり観客や家族に自身の練習の成果を披露する場であるが、観客の中には発表会全体を鑑賞することなく、身内の演奏だけ聴いて帰る方がいるが是非全体を聴いて欲しいと願っている。