― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

1月号 都市の文化力

年始から10日間の日程でベルギーに滞在した。今回は、名古屋芸術大学の姉妹校であるアントワープ音楽院とルーベンにあるレーメンス音楽院での交流コンサートを行うためである。3大学の作曲科教員の作品を、両大学の教員と学生が演奏し交流を深めることが出来た。

現在ヨーロッパは、ギリシャから始まった金融危機が深刻化する中、国債市場の不安定さが進み、ユーロの為替相場が最安値を記録し、世界的に株価下落が進む中での訪問であった。中世以降繁栄を極めたベネルクス三国の中のベルギーは、今でも街並みが当時のままで貴重な観光資源となっている。

特にブリュッセルは、ユーロ圏の首都的な役割を担い、それに伴い多くの国際機関や文化施設が存在している。文化施設は、国際都市として必要不可欠なものであり、さらに地域の社会貢献に果たす役割が大きくなっている。

「文化力」という言葉があるが、生活を豊かにする様々な活動を通じて、人々の暮らしを良くする力と理解できる。そして、文化とは経済効率を追求する現代社会において、文化に接することによって感性や創造性を養うことが出来、社会生活において心のバランスを保つためにも重要と考えられている。

西洋と日本の文化の違いは、表現の違いに加え心の感じ方や捉え方に違いがあると考えられているが、「動と静」、「華美と侘び」に対比されるように、異文化交流が進む現代社会において、新たな動きや情報に注視しなければならないと考えている。

ベルギーは歴史に培われた街並みが保存され、多くの文化施設が維持運営されている。今回で3回目の訪問となるが、実質経済が低迷しても豊かな生活振りを感じることができ、益々都市の魅力を感じる滞在であった。

現在、気になっていることがある。武豊町民会館が開館して7年目となるが、自主事業の各種アンケートによれば、地元武豊町民が鑑賞に会館を訪れる割合が6割前後となっている。しかし、様々な情報を集約すると未だに一度も会館を訪れた経験の無い住民の方が一定数存在するということである。

公共文化施設は、その役割として公平性に配慮した文化行政が実施されているが、文化の特徴である個性や創造性と相容れない面があり、それぞれの施設で事業実施において常に苦労している実態がある。

武豊町では、町民の方が「ゆめたろうプラザ」の存在価値を十分認識できる施策を展開する必要があると考えている。武豊町にも独自の文化と歴史があり、それらを土台に新たな文化の創造・発展に寄与できる施策が必要である。鑑賞事業の他、多様な講座と参加・交流事業を、今まで以上に地域との繋がりの中で実施できればと考えている。