― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

2月号

今月は、芸術と科学のハーモニー事業の特別講演会が行われた。「描きながら発見する植物の不思議」として、北海道石狩市在住のボタニカルアーティスト安藤牧子さんを講師に、花との出会いや制作に関わる様々なエピソードをお話していただいた。安藤さんは1993年に国立科学博物館主催、第9回植物画コンクールで文部大臣賞を受賞してから制作活動を本格化し、1995年以降個展を多数開催している作家である。

植物画は、規則性を正確に捉え芸術作品としてのデフォルメ、創造という自由な感覚で描かれ、科学と芸術という相反する要素を持つ作品と言うことができる。今回の講座では、予想以上に自ら作品を描かれる方が入場され、主催者としては新たな創客の掘り起しが出来たと考えている。当日の響きホールは、ホール後方の壁面に14点の作品を展示し、細密画に配慮した形でルーペを用意し、講演の前後で鑑賞できるようにしたことで、入場者の満足感が高かったように感じている。
そして、当日は入場者に安藤さんの好意で絵葉書とメッセージシートが贈られ、安藤さんが描いてきた作品によるカレンダー、絵葉書、レターセットなどがロビーで販売されたことで、作品鑑賞と講演の印象を持ち帰ることができたのではないか。講演は、武豊町民会館の開館当初から掲げてきた「芸術と科学のハーモニー事業」に合致した内容となったと考えている。

さて、今月11日から12日にかけて世界劇場会議名古屋が主催する「国際フォーラム2011(劇場の役割と進む道~すべての人々に喜びを!~)」が開催され、その一つのセッション「市民吹奏楽団と文化施設」でコーディネーターを務めることとなっていたが、所用で欠席をした。既存の公共ホールの稼働率の改善と、これから計画される公立施設のあり方に資するようなセッションであり、特に吹奏楽団体の活動と公立文化施設を関係づける良い機会で、大変楽しみにしていたが、残念ながら公務を優先することとなった。

名古屋芸術大学が15年前から学術交流協定を締結していた、韓国の慶南大学の総長就任式に招待を受け出席することとなったためである。朴在圭総長は、長年慶南大学の総長を務めてきたが、同時に大学が設立した北朝鮮研究の世界的教育機関である極東問題研究所の所長も務めている。1999年からは当時の金大中大統領の下、韓国統一部長官を務めて2000年6月の南北頂上会談を成功に導いた人物である。第9代総長に就任することになり、式典に出席するよう要請があり、そちらを優先することとなった。

式典には音楽演奏を披露することがあるが、今回も音楽教育学部の男性声楽家4名による演奏が行なわれた。オペラの楽曲から良く知られた曲を力強い声量で歌い上げ、韓国の声楽家の力量の高さをあらためて認識することができた。