― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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12月号 公立文化ホールの役割

館長 竹本義明

ミュージカル「A Back Stage Lady~ショウビジネスに今夜も乾杯!~」を上演することとなった。3月15日(土)には音楽創造集団「スイング・バンド・TAKETOYO」の初公演が、日本福祉大学のジャズ研究会と名古屋芸術大学ジャズ&ポップスコースをゲストに迎え公演する予定である。いずれも少ない予算と低料金で実施する会館ホール活性化事業の位置付けである。

公立文化施設の評価は、施設稼働率が一つの指標とされている。しかし、会館ホールで実施される公演内容や当日の鑑賞者の満足度は、主観によるところが多く数字だけで表すことができないと考えている。今や文化芸術を取り巻く社会環境が変化したこともあり、地域における文化創造活動への取り組みや貢献を最優先課題と掲げている施設が多くなってきた。公立文化施設にとって「地域の会館ホールが人材を育てる」ことが重要な役割の一つであり、若い演奏家にとっては「会館ホールが演奏家を育てて欲しい」という要望がある。しかし、まだまだ両者の取り組みの提携が進んでいない。その理由として、会館ホール側に実演家の実力を判断し接点を見出すシステムがないことと、実演家にマネジメント意識が欠けていることが要因として考えられる。

先日、地元の音楽大学を卒業した若い演奏家が小ホールで練習を行っていたが、それを聴いて私から声を掛けた。現在の若い演奏家の置かれている状況を聞くと、活躍できる演奏の場を求めているが、取り組む方法が分からず、地域で多くの演奏家が同じような悩みを抱えているようだ。
私自身、大学で演奏家育成と音楽関連業種への就職に携わっており、公立文化施設の館長としてホールの活性化を推進する立場から、以前より若い演奏家のために具体的な企画を立て活躍できる場を作ろうと考えていた。元来、音楽家はオーケストラや合唱団を除き個人プレイが主体で、団体という組織は苦手な人達である。しかし、活動を活性化するには組織とマネジメントの関与が必要であり、組織化まで大げさに考えなくともマネジメントを担う人材の関わりが必要不可欠である。
若い演奏家に会館に集まって頂き、会館ホールでの定期的演奏会や依頼演奏会の企画立案、各種講座等への取り組みをサポートし、なによりも地域の音楽家とホールの連携によるアウトリーチプログラム(出張演奏等の文化普及活動)を近隣市町村で実施することを目的として、将来的には会館ホールのフランチャイズ団体として成長させたいと考えている。