3月号 文化施設の継続的運営を可能とするために
館長 竹本義明
館長を務めて3年が経とうとしている。ゆめたろうプラザは5年目を迎え、まさにこれからが正念場であろう。地域公共ホールのモデルケースとして、運営の基盤ができただろうか。施設が古くなる中で事業運営が輝きを放つことができているだろうか。運営を担うのは人であり、多数の人による組織が貴重な経験を積むことにより、望ましい運営を実現できているだろうか。等々町民の方の評価が気になるところである。
平成20年度は全国醤油サミットが開催され、初めて会館が産業まつり会場となった。平成21年度は、町制55周年ということで様々な町の行事が町民会館を会場として行われ、5年に1度の山車祭りも開催された。一方で開館当初から町民文化祭の会場としても利用されるようになり、3日間で5000人を超える鑑賞者が入場した。この2年は、町民の来館者が年間を通じて10万人を超えるまでになり、施設全体の稼働率が71.5%で、2つのホールの稼働率がいずれも60%を超えて、響きホールは73.5%となっている。
昨年末に町民会館の開館5年目ということで、会館の設置者である籾山芳輝武豊町長と、事業運営を積極的に担ってきたNPOたけとよの桜場敬信理事長による対談があり司会を務めた。その内容は、ゆめプラだより(2009WINTER Vol.22)へ掲載されているが、開館から5年間の運営を振り返っての感想、特に印象に残った事業、そして今後の町民会館の管理・運営について意見を伺った。お二人とも今までの運営について概ね良い評価を持っており、引き続き住民参加による現状の会館運営を継続するということで意見が一致したところである。
ホールの運営では、事業の遂行に対して標準化やマニュアル化ができず、その都度緊張感を持って対応することが求められる現場であるということで、何よりも人材の育成が重要と考えている。町職員による施設維持管理及び公共性の強い事業の実施、NPO職員による会館運営業務と事業運営について、現在武豊町民会館が実施している形態が望ましいと考えられる。自治体直営で管理のみを行なう施設、指定管理者制度により地域との関係が希薄になる施設がある中で、文化・芸術の継続性が重要と考える視点から言えば、地域の文化施設は、地域の住民で組織するNPO団体との関係を密接にする中で、活動を促進させる施策が最も効果的で望ましいと考えている。その場合、NPOであっても職務に対する適切な待遇を実現できなければ、継続性を維持することが極めて困難である。そこでは、町民及び文化施設に関わる多くの人が、金銭的な多寡でなく文化施設で活動するNPOの取り組みの意義や必要性を理解し、また利用者である地域の方の支持と支援が必要不可欠であろう。
活動を通じて現在の枠組みが認知されるよう努力したい。