― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

2023年 9月号 「ジョン万次郎の夢公演」

劇団四季ファミリーミュージカル「ジョン万次郎の夢」公演がゆめたろうプラザで行われた。14日、15日は南知多町、美浜町、武豊町の小学校5、6年生を招待しての3公演、16日が一般公演である

小学生の殆どが初めてのミュージカル鑑賞で、公演途中や終演での大きな拍手が感動の大きさを表していた。運営スタッフの間ではあまりにも統率された拍手で、事前に練習をされたように感じる者も多くいた。

武豊町では、毎年町内の小学校4年生にクラス単位でアウトリーチ活動を実施し、数人の演奏者が教室や音楽室で演奏を行っていて、目の前で体験する臨場感のあるパフォーマンスに魅力を感じている。

今回のように、劇場、ホールで本格的なミュージカルを鑑賞することは、機会が少なく感性教育上貴重な経験になったと考えている。できれば毎年この地域の小学生に演奏会や舞台芸術公演を提供できることが願いである。

小学校では21世紀の教育・学習として「STEAM(スティーム)教育」が必要になっている。受け身の科学技術の知識だけでなく、自らを自由に表現し、個々の感性を活かすことを大事にすることが重視されるようになってきているためである。

STEAMの頭文字は、科学のScience、技術のTechnology、工学のEngineering、数学のMathematics、そして芸術のArtsである。この教育のねらいは、芸術に接し思考力、判断力、表現力を育むこととされていて、今後ますます小学校教育の現場でアートの重要性が増すことが予想されている。

今回のミュージカルの主役のジョン万次郎は、名古屋芸術大学に在籍していた政所(まんどころ)和行さんで大変驚いた。名古屋芸術大学は、全国の音楽大学に先駆けて音楽学部にミュージカルコースを設置したが、彼は途中で劇団四季のオーディションを受け合格し、舞台活動を続けている。

当初ミュージカルコースは、演出で統括の森泉博行教授、ダンスの名倉加代子、音楽の井上堯之、長谷川雅大、舞台美術の三原康博という、当時テレビや劇場で活躍していた方を指導陣に迎え、存在感のあるコースを実現し、ミュージカルに必要な演技、舞踊、歌唱が一度に学べる唯一の教育機関であった。

その後、声優コースやダンスコースを設置し、舞台をマネジメントするエンターテインメントディレクションコースを立ち上げ、総合的な舞台運営ができる体制が実現した。今後は舞台芸術の新たな進化が予想され、活躍の場が広がることで政所和行に続くミュージカルスターが誕生することを願っている。