2020年 5月号 「新型コロナウイルスによる影響その後」
新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みとして、引き続き会館施設の利用が制限されている。これだけ長い期間施設が休館となることは例がなく、劇場・音楽堂関係者の間では先が見えないことに対する不安が増している。
政府による緊急事態宣言発令で外出自粛が要請され、施設の利用制限がでるなか本館では施設利用のためのガイドラインを定め、使用再開に向けて準備を進めている。現状では輝き・響きホール及びスタジオは当分の間閉館を継続し、生涯学習施設のみ段階的に開館を再開することになっている。それでも、カラオケ、詩吟、コーラス(合唱)など大きな声を出す行為はできないことになっている。
会館事業にはホール主催の自主事業と、施設を貸し出す貸館事業があるが自主事業は中止あるいは延期になっている。対象はこの3ヶ月間に実施予定だった公演であり、6月以降に予定していた公演も見通しの立たない状況となっている。
貸館では事業主催者が最も影響を受け、自らが企画し運営する公演事業が中止となれば入場料収入が得られず、上演に向けて支出した予算の回収ができないことなる。そして、会館を借りた使用料も中止となれば返金されることなく、支出だけが出てゆくことになる。実際には新型コロナ感染拡大防止による施設利用制限が理由である場合は全額を返金している。
現在、劇場・音楽堂を取り巻く状況は、密閉、密集、密接の3密を避けられないことからマスク着用、アルコール消毒、室内の換気などの感染予防を徹底し条件付きで緩和することになっている。
5月14日に公益財団法人全国公立文化施設協会が政府の各種方針等を踏まえ、施設の活動再開に際し、遵守すべき事項を整理し、今後の取り組みに参考に供するため「劇場・音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を作成し、会員施設に配信している。
5月22日には東京都が定めたロードマップによれば、ステップ1では50人規模のイベントが可能でステップ2では100人規模まで拡大し、さらにステップ3ではネットカフェ、ゲームセンター、パチンコホールなどが営業可能とされているが、劇場・音楽堂がどのような条件で可能となるかは明確になっていない。1ステップが2週間の期間としていることから、全面的に緩和されるまで最低でも6週間を要することになる。
近隣の劇場・音楽堂の対応を見ると、6月中は公演を中止とする施設が多く、7月以降については実施と中止あるいは延期が混在し、正常化するには数か月かかると考えている。