10月号
ようやく暑さが和らぎ、過ごしやすくなった10月中旬に高山市を訪ねた。訪問の目的は名古屋芸術大学と高山市の連携協定の締結協議のためである。高山市はすでに県内の大学である岐阜大学、岐阜経済大学などと事業ごとに連携しているが、新たに芸術文化分野についての連携を模索しており、そのような中で市長と面会することとなった。
9月に就任した國島芳明高山市長は、芸術文化の振興を積極的に支えることを公約で表明している。「心の中や生活に潤いと豊かさを醸し出し、生きがいや、若者の社会参加へのやる気づくりにもつながる芸術文化活動をさらに浸透させ、広げていくために、芸術文化の保存地と継承、新たな芸術文化の創出のための予算を総予算枠の1%以上確保します」「地域の伝統文化を守る活動や、新しい高山の文化を創造していく活動を支援するため、芸術文化夢基金(芸術文化保存振興ファンド)を創設します」と述べている。
今後、大学と高山市が包括的連携協定の締結に向け、担当者で協議を重ねることとなるが、今までにもミュージカルをはじめとする公演で良好な関係を築いてきた。特に地域の公共文化施設である飛騨・世界生活文化センターで、地域参加型オリジナルミュージカルの公演を行ない大変好評を得ている。飛騨・世界生活文化センターは、飛騨コンソーシアムが指定管理者となり運営を行なっている施設であるが、岐阜県の直営から飛騨木工連合会が組織する飛騨コンソーシアムが指定管理者となってからは、積極的に事業を展開しその活動が注目される施設である。
飛騨・世界生活文化センターと武豊町民会館は、2年前からゆめホタルが縁で交流がおこなわれており、センターが冬期に施設をイルミネーションで飾ったところ、住民の環境意識の高まりから消費電力について苦情が寄せられたことがある。そこで、発光ダイオード(LED)電球を使用する町民会館のゆめホタルを紹介したところ大変評判が良く、その後も、センター独自でゆめホタルを製作し、施設全体をゆめホタルで飾り、冬のイベントとして定着した感がある。
2年続けて実施している「飛騨センターオリジナル・ミュージカル~飛騨・童話会議~」は、住民の参加・交流の事業として高山市以外に下呂市や関市など、東濃地区からも多くの子供たちが参加し市民から予想以上の評価を得ている。
高山市は、観光で世界に知られているが、現状は市内中小企業の8割が赤字決算で、観光産業も停滞している。2005年2月に周辺9町村を編入合併し、東京都の面積に匹敵する日本一広域な自治体となったことにより、多くの公共施設の活用に苦慮している。芸術文化による施設の利活用をすすめ、文化と観光が結びつきを強めて、総合的に高山市が発展できるシステムを構築するお手伝いができればと考えている。