― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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1月号 劇場・ホールの評価

館長 竹本義明

文化施設の評価に対する関心が高まっているが、一言でいえば大変難しいというのが率直な感想である。公立文化施設の場合、施設の設置者である自治体が、その設置目的や使命を明確にすることが求められ、その上で管理・運営、事業収支、そして経済効果等の評価を行うこととなる。それらは事務事業評価の範疇であり、文化施設の場合公共性や文化的価値、事業の内容まで踏み込んだ評価を行うことが難しいことが上げられる。

本館は、会館当初から武豊町文化創造プランの中で評価の考え方を明らかにし、評価方針にそって評価を実施してきた。(1)毎年実施する評価と中長期の評価に分けて実施する。(2)多様な角度から評価する。(3)効率的・効果的に評価作業を実施する。(4)広く住民の意見を集め、評価結果を情報公開する。という4つの項目である。年度評価は毎年実施し、個別の自主事業、運営状況、収支を対象とし、利用者アンケート、利用者意見交換会等を評価データとしている。個別事業の内容・成果の確認、運営状況の確認、そして施策改善の検討を議題としている。評価機関としては、内部評価が会館の企画委員会、委託先、外部評価は運営委員会としている。中長期評価はまだ実施していないが5年に1度程度としており、現在見直しを行っている文化創造プランの平成24年までの事業スケジュールの策定が、現在までの施策達成状況の評価、各種年報を基に評価を行うこととなっている。

実際に本館は、事務局が作成する当該年度の実績報告書、NPOが作成するアニュアル・レポート、そして、館長が作成するアニュアル・レポートで建設当初から会館に関わる評価を実施してきた。これらは、あくまでも自己評価であり、純粋な第3者機関による評価でなく内容的にも甘さもあると認識している。現状は、会館が出した評価の結論を改善、実行する担保が保証されておらず、出来るだけ上記の資料を対外的に発信して情報公開し、今後の事業・運営の戦略や方向性の策定に結び付けたい。

一般的に文化施設の評価は、ようやく取り組みが始まったばかりである。文化政策として事務事業の評価については、各種データに基づき評価が容易であるが、問題は事業の公共性、すなわち文化的・芸術的価値の評価であろう。これらに取り組む場合、何よりも事業を標準化することが困難で、適切な評価指標や評価方法の設定が難しいということが、取り組みを遅らせている原因であろう。評価と言えば、高等教育機関である大学は2002年の学校教育法改正により、2004年以降文部科学大臣の認証を受けた評価機関による評価を、7年以内の周期で受けることとなり、全国の大学が個々に評価を受けている。将来的に劇場・ホールの評価もそのような状況になってゆくのだろうか。