― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

9月号

武豊春の音楽祭2010について、公演の3本柱である「合唱構成ぞうれっしゃがやってきた」の結団式が終り、本番まで11回予定されている練習が始まった。「熱帯ジャズ楽団公演」は、日本を代表するラテン・ジャズ・ビックバンドとして不動の地位を確立し、最近では全てのライブコンサートが満席となる人気のバンドであり、ようやく武豊でのコンサートが実現することとなった。「名古屋フィルハーモニー交響楽団公演」は、第1回目の春のコンサートに続き2回目の出演となるが、第2回、第3回ではスケジュールや予算面で実施が見送られてきた経緯があり、大変期待できる公演である。

今回の名フィルは、指揮者の選定から演奏曲に至るまで、実行委員会の要望を実現して頂き、武豊春の音楽祭に相応しい内容で公演が実現することになった。具体的に指揮者は、コソボフィルハーモニー交響楽団首席指揮者で「ニューズウイーク日本版」に“世界が尊敬する日本人100”に選出されるなど、数多くのメディア媒体で紹介されている栁澤寿男氏である。演奏曲目は、序曲として春に相応しいF.ディーリアス作曲「春初めてのカッコウを聞いて」、独奏者には、名古屋出身で現在最も注目される若手クラリネット奏者である亀井良信氏に、有名なW.A.モーツァルト作曲「クラリネット協奏曲イ長調 (K.622)」をお願いした。そして、交響曲にはポピュラーでありながらクラシックファンに人気のある、A.ドヴォルザーク作曲[交響曲第9番ホ短調“新世界より”」を演奏することとなった。これらは、武豊だから実現できる公演である。

そして、今回の武豊春の音楽祭のもう一つの特徴として、2週間にわたってホールや練習室、オープンスペースを開放し、住民主体の文化によるまちづくりのため、内外の音楽家との交流、地域からの文化発信を目的に施設の使用料を免除し出演者を募集している。これにより、音楽祭期間中の朝から夕方まで音楽であふれる空間にしたいと考えている。

最近、ホール関係者や若手演奏家と話し合う中で、今回の武豊町民会館のような取り組みが徐々に増えているように感じている。会館・ホールが地域との接点を重要と考え、演奏家が積極的に演奏の場を自らがマネジメントするようになり、大変好ましい状況が生まれているようだ。このような取り組みが進めばホールが活性化し、公共施設としてのホールの役割を果たすこととなり、積極的に推進したいと考えている。

音楽祭の計画の中で、もう一件検討中の企画があり実現させたいと考えている。2月の初旬にジャズのビックアーティストの公演をプレ企画として検討している。実現すれば、入場料金設定をいままでの枠から外す必要があり、リスクマネジメントが問われる公演である。武豊から始まった音楽祭が、2年後には知多半島全域で実現できるよう取り組んでゆきたい。