10月号 知多半島と白川郷
今月中旬の週末、1泊2日の日程で大学後援会の研修旅行に参加した。親睦と研修を兼ねて美術館を訪ねるのが目的であり、今回は石川県加賀市にある石川県立九谷焼美術館と金沢21世紀美術館を訪ねて鑑賞した。
九谷焼美術館は開館して8年になるが、丹下健三氏門下である(株)象設計集団代表の富田玲子氏が、周りの公園も含めて設計された美術館であると伺った。女性建築家の設計のため細部にきめ細かな配慮が感じられる施設であった。
私たちが美術館に到着したのは夕方で、閉館30分前であったが学芸員の方が入り口で待っていて、閉館時間を過ぎたにもかかわらず丁寧に説明をして頂き恐縮した。今は希少価値である古九谷焼を数多く鑑賞することができ、久しぶりに感性を磨くことが出来た。
翌日は、金沢市の武家屋敷の街並みと屋敷内の襖絵等を見学して、金沢21世紀美術館を訪ねた。2004年10月に開館してから、美術館のあり方を大きく変えた施設であるが、年間150万人の入場者があり、2011年には1,000万人の入場者を記録した全国的に注目を集める美術館である。いわゆる文化施設の運営が全国的に低迷する中、活況を呈しているのは出会いや体験が可能となる自由な施設として、機能していることが理由としてあげられるように感じた。
さて、1日目に東海北陸道を経由して金沢へ向かう途中白川郷に立ち寄った。観光バスでの移動であったが、たまたま知多半島に営業所を置く会社のバスを利用したため、バスガイドさんがとても興味深い話をされたので紹介したい。実は白川郷がある白川村と知多半島の面積がほぼ同じであると言われた。白川村は356K㎡、一方知多半島は391K㎡である。
白川村は四方を山に囲まれ、知多半島は3方を海に囲まれる地形的違いはあるものの、人口密度は知多半島の約62万人に対して白川村は1,704人ということである。白川村にある白川郷は、年の半分が雪に覆われる地域であるが、1995年に世界文化遺産に登録されてから、今では年間150万人近い観光客が訪れているようだ。世界文化遺産登録による広報効果は想像を超えるものがあり、30年前に訪れた時の素朴で安らぎを感じさせる風景の面影が無く、土産物店や道を埋め尽くす観光客に驚くばかりであった。
一方知多半島は温暖な気候で、この地域で一番先に春が訪れる地域であるが、2004年に知多半島5市5町が一体となって事業を連携して出来るよう「知多ソフィア観光ネットワーク」が立ち上がり、2008年の統計によれば知多半島への年内入込み客は1,481万人で、122万人の宿泊客となっている。2010年には知多半島を一つの観光エリアとする知多半島観光圏が観光庁より広域観光圏に認定され、積極的に事業を展開しているが、今年度の「知多半島春の音楽祭」の開催が地域に貢献できるよう願っている。