― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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11月号 吹奏楽コンクールと交流演奏会

全日本吹奏楽コンクールの中学・高校の部は、1977年以降東京都杉並区にある普門館(通称吹奏楽の甲子園)で行なわれてきたが、同館が5月に行なった耐震調査の結果、強度不足により天井崩落の恐れがあることがわかり、今年は急遽10月31日、11月1日名古屋国際会議場センチュリーホールで開催されることになった。

地元名古屋での開催ということで、審査員を務めることになったが、平日のコンクールにもかかわらず多くの吹奏楽愛好者が全国から集まり満席となった。来年度も普門館の改修計画が明確でないため、名古屋国際会議場を会場とすることが決まっているようである。

17日、18日には、2009年度から大阪城ホールに固定されて開催されている、全日本マーチングコンテストの審査を務めた。マーチングは、吹奏楽コンクールが第60回となる中、今年度第25回を迎える大会であるが、聴衆も一日で1万人近い入場者があり、熱気に溢れ視覚的にも楽しめるコンクールであった。

現在、全国の吹奏楽団体は1万4,000団体を超え、吹奏楽人口が500万人とも言われている。加盟団体はスクールバンドが圧倒的に多く、世界的に見ても日本の吹奏楽の特徴となっている。このようなコンクールの実施により、日本吹奏楽の演奏技術レベルは飛躍的に伸び、全国各地で地域格差のない演奏が実現できていることは評価できる。一方で諸外国の吹奏楽の楽しみ方として、老若男女が一同に集まり気軽に音楽を楽しむ活動があるが、日本では演奏の質やレベルを追い求める意識が強く、気軽に楽しむことが少なく今後の吹奏楽活動の課題であろう。

交流演奏会は、名古屋芸術大学が15年前から韓国慶南大学と交流協定を結び、音楽や美術分野で学生と教員の交流を行なってきたが、この数年両大学の音楽科教員による交流演奏会をそれぞれの国において交代で開催している。

今年は韓国で開催することとなっており、昌原市(韓国唯一の計画都市で現在は人口100万人)3・15アートセンターを会場として行なわれ、表敬訪問を兼ねて出張してきた。アートセンターの3・15とは、1960年に韓国初の民主化運動が馬山市(2010年昌原市編入)で発生したことを記念して建設された創立5年の新しいホールである。規模としては1,300席の大ホール、750席の小ホールがあり全体として70%の稼働率となっている。

韓国では、この10数年全国各地に文化施設・ホールが建設され、専属の市立オーケストラが創設されて活動するほどクラシック音楽が盛んになっている。加えてオペラやミュージカル等の舞台芸術を公演する体制が、国を挙げて日本を上回る勢いで整備されている。
今月、日本では劇場法について文部科学大臣の指針が出され「劇場、音楽堂等の事業の活性化のための取組みに関する指針案について」意見募集が実施されているが、これを機会に活性化することを願っている。