― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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4月号 地域公共ホールの存立意義

武豊町民会館館長を引き受け、館長便りを執筆して6年目になるが、あらためて地域公共ホールの存立意義について考えてみたい。日本の公共ホール建設の歴史は1920年代に始まったが、1960年代以降全国各都市に市民会館、文化ホールが建設されるようになり、多くの地方自治体が競ってホールを建設した結果、現在では全国に2,000を超える公共ホールが存在している。

40年を経て、そのホールがどのように地域に存立しているかと言えば、建設目的を果たしているとは言い難く、いずれも運営に苦労している実態が浮き彫りになっている。運営のあり方を探求せず多目的ホールとして建設されたホールが殆どであり、建設当時は、地域住民のニーズを反映することなく建設され、結果として管理を目的とした対応となっているのは残念な状況である。

このような状況は、建設主体である行政だけの問題として片付けられることではなく、そもそも自治体の総合計画に文化政策がどれだけ反映されているかが問われると考えている。自治体においては、文化行政が教育行政を主な分掌とする教育委員会に位置付けられているが、最近では生涯学習が加わり、公立文化施設に公民館や博物館、そして図書館などの管理・運営までもが混在し、益々対応を複雑にしている状況がある。

地域公共ホールの運営にとって、管理に掛かる費用が大部分を占めているが、文化施設としてそれだけでは不十分である。ホールは何らかの事業を実施してこそ、その存在意義が認められることになるが、事業を実施している施設が少ないことに、地域文化行政の怠慢を感じている。

自治体として事業予算を確保することが年々困難となっている中で、首長部局が対応している場合は比較的予算が確保され事業が行われているようであるが、それでも政令指定市など一定規模以上の公共施設に止まっている。問題は中規模以下の市町に設置されているホールにおいて、魅力ある鑑賞事業が行われず、貸館として音楽発表会や集会・講座だけで運営されている場合である。そのような施設では、公的支援が困難な中、民間支援の活用について積極的に取り組むことが求められる。

意識の高い市民サイドでは、施設の現状に対する指定管理者制度への責任転嫁があり、そして、ホールに事業を企画・運営する専門家が置かれていないという不満を述べているが、言動だけで現状が改善されることは期待できないことは明らかである。

施設活性化に向けた取り組みは、市民側が事業委託可能な組織の設立や鑑賞組織を設立するなど、施設が置かれている環境を素直に受け入れ、出来ることを着実に組織的に実行する体制を構築することである。また、施設側の担当者は多くの住民が施設と関わりが持てる方策を打ち出すことにより、双方の連携による相乗効果があることを認識して欲しい。