2014年 12月号 避難訓練コンサート~みんなでシェイクアウト~
本館で3回目となる避難訓練コンサートが実施された。今回は「みんなでシェイクアウト」ということで、小さな子どもと保護者を対象とした訓練コンサートである。
シェイクアウトとは、2008年アメリカの防災関係者らの発案でスタートした防災訓練で、自らの命は自ら守るという「自助」の取組みに重点を置いた訓練である。安全確認行動を1分間行い、公演に参加した観客が一斉にその場所で「(1)ドロップ:まず低く!」「(2)カバー:頭を守り!」「(3)ホールド・オン:動かないで!」などの安全行動を行い、観客が主体的に参加するものである。
シェイクアウトの後、通常の避難場所に避難を行ない終了となるが、最近はどこでも気軽に実施できることから、様々な単位で実施されるようになっている。
今回の舞台はミュージカルシーンで、劇団四季で活躍されていたメンバーを含む5人のユニットが、よく知られた曲をダンスとともに演じる内容であった。そして、通常の事業と異なり5人の実演家が伴奏のための音源や舞台衣装を持込み、それ以外の音響、照明は本館の施設管理スタッフが主体的に関わり実施するものである。
舞台床のリノリューム敷き、音響機材の設置、そして機器の操作を行いこれだけの舞台を展開できたことは、スタッフの事業運営に関わる力量が十分備わっていることの証しである。小さな子どもと保護者を対象とした演奏会であり、曲目もディズニーやアニメの曲であったため、知っている曲が多く入場者の皆さんは楽しんで鑑賞されたように感じている。
文化施設における避難訓練は、事業実施において大量の人間が集まるため、毎年繰り返し実施することが望ましく、加えて事業により避難対象者の年齢構成が異なり、鑑賞する施設内は暗転となることが多く、通常と違った取り組みが求められる。
観客の方は、今回のような取り組みを経験することにより、地震等の災害が起きることを自らが想定し、いざという時に素早い行動ができるようイメージトレーニングも必要になってくると考えられる。
今回は事前に無料の入場券を定員500人として配布したが、実際の公演当日の観客は300人弱であった。予定の6割の入場者のため概ねスムーズな避難が実現できたが、500人の観客が入場していれば違った展開となった可能性もある。
避難誘導にあたるスタッフの打合せを重ねたが、基本的な対応について確認することに止まり、実際の場で起きることについては臨機応変に対応することが求められる結果となった。当日集計したアンケートでは、外の避難先での案内マイクが聞こえなかった。訓練終了から公演再開までの間が長かった等の意見が寄せられたので、次回の訓練実施で改善できればと考えている。