― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

2014年 2月号 文化のまちづくりセミナー

今回で7回目となる文化のまちづくりセミナーは、公共政策が専門の帝塚山大学中川幾郎教授にお願いした。先生の講演は2回目で、前回は武豊町が「文化創造プラン」を策定しているのは、文化行政に力を入れている表れであると評価をいただいた。

本セミナーの第1回目は2007年11月に新潟県魚沼市小出郷文化会館の櫻井俊幸館長の講演で、地域の文化育成に励んでいる事例の紹介がされた。第2回目は2008年2月にモントリオールタンジェントセンターのジョルジンヌ・ヴァイヨン国際交流部長による、世界の舞台芸術の最先端情報をまじえた「国際的な視点から文化のまちづくり」についての講演であった。

第3回目は2008年5月に中川幾郎教授に全国の自治体文化行政事例を紹介頂き、武豊町のまちづくりに町民会館の果たす役割を考えることができた。第4回目は2010年1月に「市民発文化のまちづくり~住みよいまちを求めて~」のテーマで、清水裕之名古屋大学教授のコーディネーターで5名のパネリストによるパネルディスカッションを行ない、第5回目は2011年10月に越後妻有アートトリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭の総合ディレクターである北川フラム氏に「地域づくりとアート」について講演を行って頂いた。

第6回目は2013年1月に「芸術文化振興の拠点としての公共ホールへの期待」として、川村恒明元文化庁長官による講演、第7回目は「めざせ幸福度ナンバーワン~うるおいのある町を作るために~」のテーマによる本講演となった。

本館は創立10年の節目を迎え、中川幾郎教授に評価頂いた文化創造プランは、昨年第2次文化創造プランを策定したところであり、さらに文化振興を促進させることが会館に関わる者の使命であると考えている。

今回のセミナーには、一般参加者の他、近隣市町から町長はじめ多くの行政担当者の参加があった。現在自治体は公共文化施設の指定管理者制度の委託に動いており、中川幾郎教授は実際に指定管理となった文化施設の事例から、美術館、博物館、図書館そして文化ホールが市民の文化的人権の具体的保障がされず、都市・地域アイデンティティ形成が損なわれていると述べられた。

今回の講演を拝聴し、分権時代の地域文化振興政策が益々重要となる中で、先進的・戦略的な自治体文化政策を進めるために、ひと・まち・役所など文化行政の三つの資源に着眼し、文化NPOと地域コミュニティーの出会いと融合をめざすことの重要性、自治体文化政策と市民の関わりについて議論を深める必要があると認識した。