― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2014年 5月号 オーケストラと都市の関係

オーケストラは都市文化のバロメーターと言われ、世界に名立たる欧米のオーケストラの多くは都市名を冠した名称を用いている。それらのオーケストラは専用の練習場を兼ねたホールを持ち、安定した運営を実現できている。

欧米の公演実態は、夜8時前後に公演が開始され鑑賞者は夕食を済ませてから鑑賞することができる。終了時間が遅くなっても公共交通機関を利用して帰宅でき、劇場・ホールのある地域全体で芸術に親しむ環境を整えている。また、演奏会はコンサート専用ホールで行われ、他の舞台芸術公演との共用がなくシンプルなセッティングで、同一プログラムの複数回公演が実現している。

ドイツはオーケストラ王国と言われ、地域やホールがオーケストラと強い結びつきを持って維持運営されている。また、オーケストラの設置形態が日本と異なり、団員は公務員として勤務している。オーケストラの規模は、元来設置自治体の予算内で人員が決まり運営されてきた。

現在ドイツのオーケストラ評価がアルファベットで表されるようになっているが、本来オーケストラが存立する自治体の財政規模による編成を表すために用いられていたものである。Sのベルリンフィルハーモニー交響楽団を筆頭に、Aランクオーケストラ(5管編成120人前後)は主に放送交響楽団を指し、Bランクオーケストラ(4管編成100人前後)は歌劇場付きとして都市部で活躍するオーケストラ、地方ではC、D、Eという70人から50人以下まで(2管編成前後)のオーケストラが運営されている。

日本にはプロフェッショナルオーケストラが25団体活動しているが、一部を除き専用ホールを持たず演奏活動を行っている。その運営は公益財団法人として公的補助金や事業収入により維持されているが、いずれも厳しい経営環境に置かれている。

一般的に知られていることであるが、欧米の劇場・ホールの成り立ちは、地域で活躍する創造実演団体の活動拠点として施設が建設されてきた歴史がある。そのため施設は目的別に建設され、芸術的に優れた評価を得ている。それに比べて日本における劇場・ホールは、自治体が多様な使用ができるよう多目的に建設されており、実演団体の施設に対する評価は決して高くない。

国による「劇場・音楽堂の活性化に関する法律」制定後、文化振興政策を推し進める機運が高まりつつあるが、現実に存立している施設が実演団体と共同して利用を活性化することが望まれる。その場合、オーケストラが舞台芸術において重要な役割を果たすことを認識し、活用を図るため劇場・ホール専属となる自治体の名称を冠したオーケストラの設置を期待している。