― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2014年 9月号 山田貞夫音楽財団の取り組み

日本において1980年代後半から企業による芸術文化支援活動(メセナ活動)が始まり、1990年代に企業メセナ協議会が発足し、新たな施設が建設されるようになり、行政による文化振興条例の制定があり、メセナ活動が充実し芸術活動が活性化した感がある。

近年は協議会による企業横並び支援の他、独自に芸術文化支援を行うことが散見され、劇場やホール、美術館を設置し会場の提供や運営への助成などが実施されるようになった。
この地域では、公立文化施設のネーミングライツ(施設命名権)が一般的になり、企業のオーナーが相次いで音楽ホールを建設し音楽文化普及に貢献している。カレーハウスCoCo壱番屋創業者の宗次氏による「宗次ホール」の意欲的なコンサートホール運営とコンクール開催、そして特定非営利活動法人イエローエンジェルによる各種支援活動が定着している。メニコンが運営するHITOMIホール、製薬会社オーナーによる5R/ホールも手ごろな座席数で、若手演奏家に人気がある。

昨年から公益財団法人山田貞夫(ダイドー株式会社)音楽財団が主催する音楽賞の選考に関わり、受賞者とオーケストラによる新進演奏家コンサートの開催に協力した。財団では、奨学金の給付も実施しており、愛知県所在の音楽大学またはその大学院の在学生、または愛知県出身者で、クラシック音楽を専攻する在学生約40名に奨学金を給付していることを評価したい。

このようなメセナ活動は、地域社会の芸術文化振興、あるいは自社のイメージ向上につなげるための目的はあるが、何よりも創業者やオーナーの音楽芸術に対する強い想いが感じられ、そのような考えが原点にあるようだ。

特に宗次徳二氏や山田貞夫氏は、人生の中でクラシック音楽に助けられ、勇気づけられた経験があり、そのことが現在の音楽芸術支援の原動力になっていると伺ったことがある。
芸術系大学に関係するところでは、株式会社ダイテック創業者の設置した公益財団堀科学芸術振興財団による、地元3芸術大学の学生を対象とする現代美術の作家に対する現代美術支援の作品公募展(ASCA展) がある。大学から推薦された作品を展示し、優秀作品を香港で行われる現代アートのイベントに招待するというものである。

地元の芸術文化支援は、若い音楽家や作家を支援し社会貢献をするという共通の目的を共有しており、次に続く企業が数多く出てくることを期待している。