― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2015年 1月号 中小文化ホールの事業について考える

1970年代から全国の自治体に市民会館が建設され、現在では3,000を超える公立文化施設・ホールがある。その中の約7割は法定耐用年数を迎え、自治体は老朽化する施設の維持・活用に苦慮している。

愛知県内に1,000席を擁する文化ホールが38あるが、その中で17施設(44.7%)が35年を経過しすでに3施設が取り壊されている。1990年代以降施設建設の流れは中小ホール建設が多くなり、従来の多目的利用の芸能主体の事業から、多様な事業が実施されるようになっている。

日本では、自治体文化施設が多目的使用施設として建設されたため、実演団体は編成や内容を調整し、運営においては事業ごとに対応が異なることからスタッフが苦労してきた。欧米では実演団体の活動の場を可能とする施設が建設され、専用施設のためシンプルな舞台運営が可能となっている。

近年の建設する文化施設では、専用施設が建設され、平成25年度文化庁調査で1,408施設のうち1ホールのみが61%、2~3ホールを所有する施設が39%となり、公立文化施設においても複数ホールを持つ施設が増えている。

企業が「少品種大量生産」時代から「多品種少量生産」になり、文化施設も事業の実施において、多様な分野の公演を少ない収容で実施するように取り組む必要があると考えている。本館において実施している「サロン・コンサート」や「レクチャーコンサート」が、多品種少量生産であり、小ホールで行う少人数を対象とした公演として支持されている。
いわゆる1,000席を超えるホールで実施されてきた舞台芸術は、歴史的にはサロンや小空間で行われ、限られた人々だけが鑑賞する機会を与えられていた。近代になり市民社会の形成により、多くの市民が芸術を鑑賞する機会が可能になり、それに伴い大きな施設が必要とされ事業内容も大型化してきた。

一般的に芸術鑑賞において、鑑賞者の動向は最初に大編成の公演を好む傾向があり、鑑賞を続ける中で小編成の公演を志向するようになる。中小ホールこそ鑑賞者に対して積極的に新しい創造的な事業を提供してゆくことが求められるが、まだまだ鑑賞者の要望に応えられていないのではないか。

劇場、ホール建設の流れが中小ホールに向かう中で、施設を運営する担当者の意識を変えてホールを活性化することが求められる。専門的人材の配置を可能にし、運営を担う人材育成事業に取り組み、地域住民を対象とした普及啓蒙事業を推進し、関係機関・団体との連携・協力を推し進めることが望まれる。