― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

2015年 4月号 ホール建設・運営との関わり

武豊町民会館に関わり9年目を迎えることになる。この間、近隣自治体の文化振興に関わり多くを学ぶことが出来た。平成17年4月から一宮木曽川文化会館建設基本計画、及び設計プロポーザル審査で委員を務めたが、建設段階になって一部地権者の同意が得られず計画が中止された。その後、計画が再開され平成28年3月竣工予定となっているが、当初より建設予算が削減され席数も半減する施設となるようである。

最近では、東海市太田川駅西地区文化施設基本構想策定委員を務めた。施設は東海市芸術劇場(ユウナル東海)として今年10月の開館が予定されている。また、三重県津市久居ホール整備有識者委員を務め3月末に津市長に意見書を提出した。

新しい文化施設の建設計画に参加し感じるのは、地域住民の期待と建設検討委員の間で調整にあたる行政担当者が苦労している姿である。完成後に利用する地域の方の理解がなければ施設の存在価値がなく、住民の要望を受け入れた完成までのプロセスを担う重要な役割をあらためて認識している。

文化振興プランあるいは文化創造プランを策定する自治体が増加しているが、芸術文化を促進するためにはプランが不可欠である。今までに小牧市文化振興ビジョン(第2次)、かすがい市民文化振興プラン(改訂版)、刈谷市文化振興基本計画(中間改訂版)そしてこれから施設が完成する東海市文化創造プラン(新規)の策定に関わったが、文化施設が地域で存在感を持ち地域活性化の核となるには、運営に市民の積極的参加が望まれる。

すでに設置されている文化施設で、実施する事業について委員として意見を述べる機会があり、成功している運営事例では十分な財政基盤と運営人材の確保があり、それらを維持発展させる行政の取り組みが効果をあげている。

公立文化施設の運営に関しては、民間の施設のようにはいかないが、一部公共サービス的事業を除き、数字的な収支だけにとらわれることは適切でなく、事業を運営することによる地域への経済効果を勘案する必要がある。そのことによりトータルで事業の実施効果が明確にされるべきと考える。

事業運営組織について、自治体が設置している文化施設は、基本的に直営と指定管理に分かれる。それぞれにメリットデメリットがあるが、最近では運営費削減を目的とした指定管理が少なくなり、運営実績及び施設活性化への主体的取り組みが期待できることが条件となっている。

本館のように運営が直営で、鑑賞事業の61%、事業費の78%をNPOに委託(2013実績)している例は他になく、文化施設に求められる地域活性化と経営に対する機能において十分評価に値すると考えられ、同様の取り組みが広がることを願っている。