― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

2015年 7月号 100号記念

2007年4月から館長便りを執筆して今月号で100号となる。館長在任が今年で9年目となるが、2010年には就任から3年間の館長便りを編集し「実践アートマネジメント~地域公共ホールの活性術~」として単著を出版した。

ゆめたろうプラザの運営に関わって感じることを思いつくまま執筆したが、館長便り99号までの内容を振り返ると、ゆめたろうプラザの事業や施設に関わる記述と、事業マネジメント、コラム、運営に対する提言等に分類できる。

あらためて館長便りのタイトルに目を向けると、会館の公演や講座に足を運んで頂く来場者を対象にして執筆したため「地域」「活性化」「評価」「役割」「支援」「運営」「実演」等の簡潔な文言が並び、会館を取巻く課題が垣間見える。

実際に館長を経験して感じたことは、会館運営において「文化創造プラン」が設けられ、運営のレールが適切に敷かれており、文化ホールの役割が「管理から運営」、「地域への事業提供から協働」へと変化する中、地域に根差した運営が実現したと考えている。

(一財)地域創造の「平成26年度 地域の公立文化施設実態調査」報告書によれば、全国のホール施設の設置比率は北海道、東京に次いで愛知県は3位であり、個別ホールの客席分布は200~600席が大半を占めて、平均稼働率は58.5%である。

ゆめたろうプラザは678席の中ホールと200席の小ホールを設置し、中・小ホールを合わせた平均稼働率は77.9%となっている。従来から自治体が建設する文化施設が1,000席を超える客席を望む中、武豊町は地域にとって使い勝手の良いホールが建設され、関係者の見識があったと考えている。

管理運営形態については、2003年に施行された地方自治法の一部改正による、公立文化施設の指定管理者制度が、公募によるものが25.7%に止まり、直営が56.7%となっており、指定管理導入施設が拡大していないという印象がある。

特に人口が5万人を切ると指定管理の割合が13.1%と極端に低くなり、事業も魅力を欠く内容となっているが、本館はNPOが運営に関わることにより、幅広い活発な運営が実現しており、全国唯一である運営形態を継続することが望まれる。

今後の課題としては、本館の事業範疇である芸術鑑賞(体験・参加型鑑賞事業)、人材育成(講座事業)、文化発信(地域からの発信)、そして、交流&住民参加(他地域との交流、多面的な運営参加)を充実・発展させるため、NPO社員の10年間の活動により蓄積された会館運営マネジメント能力を評価し、武豊町による新たな10年に向けたゆめたろうプラザの活用を図る枠組みが実現できることを望んでいる。