― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2016年 2月号 武豊町学校アウトリーチ アーティストのコラボ

本館は会館ホールでの鑑賞事業の他、小・中学校や地域でアウトリーチ活動を積極的に実施している。現状は実演家も学校も公演に協力的になっているが、アウトリーチ活動を始めた当初、体育館等で多くの児童・生徒の体験を望む学校に少人数のスペースでの公演の意義を理解してもらうことに苦労した経緯がある。

この数年、鑑賞事業で招聘した団体に公演前後にアウトリーチを依頼し、快諾を得られた団体で実施している。公演を重ねる中で、小学校は4年生が感受性に優れ、少人数のクラス単位での実施に効果があることが明らかになり、現在では4年生のクラス単位で実施している。

2015年度事業も残すところわずかとなる中、積水ハウスのCMでおなじみの「アルケミスト」と、日本最強のニューオリンズブラスバンド「ブラック・ボトム・ブラス・バンド」の共演による夢のコラボレーションが実現した。2団体とも全国で活躍し本館での公演と町内小学校でのアウトリーチ活動実績があり、武豊町民会館の鑑賞者にとって馴染みのあるグループである。

今回、2グループのコラボレーションによる公演が実現したが、本館のNPO職員の土江の強い思いが2グループのコラボによる公演を企画し、グループに承諾を得て実現したものである。それぞれ単独で活躍するグループを結びつけることは、鑑賞者や企画担当者の意識としては好きなグループの共演が実現できれば、きっと楽しく感動するだろうという思いがある。しかし、公演するグループとしては独自性が失われ、発展的な公演の維持に影響が出るだろうという危惧を抱くことになり、簡単なようで難しい企画である。

しかし、土江の思いは競演による新たな芸術創造性のあるパフォーマンスを実現するため、将来の地域社会を担う子供たちに対しそれぞれの演奏の相乗効果を実現し、豊かな情操を培うとともに健全育成に寄与することを目的に公演を実現させた。豊かでボリュウムのあるブラスの響きと、歌詞の持つ力を活かした旋律、それぞれのメリットを最大限生かしたホールでの公演が実現した。

事業の成功は入場者の多寡ではないが、とても気になるところである。本公演は当日券を含む最終入場者が550人と入場者比率が81%となった。入場者は北は群馬県、南は北九州から来場し千葉県、東京都、兵庫県、京都府からそれぞれのグループの熱烈なファンが、新たな可能性に期待を寄せ、世代をこえて楽しんで頂いた。

最後には客席から小学生を舞台に上げ、一緒に合唱し楽器持参の子どもの合奏と合わせ、大いに盛り上がった公演であった。

通常、会館・ホール事業を自らが企画し実施することは稀であるが、今回の成功でNPO職員のさらなる取り組みに期待する。