2017年 4月号 文化・芸術と社会包摂
新年度は、生涯学習課が本庁へ異動し、あらたに町民会館事務長が赴任した。新事務長は中央公民館館長からの異動で、いわゆる社会教育と文化振興の連携に力を発揮していただけると期待している。そして、ゆめたろうプラザに勤務経験があった職員が、退職後の再任用職員として管理運営に従事することになったことも心強く思っている。
先月3月19日に「バリアフリーコラボレーション2017」が実施され、大変盛り上がりのある公演となった。今月になりその時のアンケートがまとめられたので紹介する。本公演は、ゆめたろうプラザに関わりを持つ住民を中心とした多くの人々が平成20年にバリアフリーコラボレーション実行委員会を立ち上げ、障がい児・者との交流を通じて人と人がつながり、共に暮らすことへの理解を広げることを目的に年1回開催するイベントである。現在、武豊町社会福祉協議会のボランティア団体にも登録されている。
開催趣旨は、障がいの有無に関わらず、共に暮らせる社会の実現を願い、そのために「障がいのある人」と「障がいのない人」という枠を超え、音楽を通じてそれぞれの思いを伝え、共感し合える場を提供することで人と人がつながり、障がいへの理解を深め合うことを目的に2010年より活動している。
この6年間、プロと障がいのあるアマチュアが音楽ホールという空間で一緒に演奏し、「共に輝く」素敵なステージを参加者に届けることができた。今回は、武豊町提案型協働事業としても2年目を迎え、武豊町からの助成と14の企業にも協力をいただき実施した。
アンケートを見ると、来場者の62%が日常的に障がい者に接する機会があり、入場者の40%弱が障がいのある方のイベントを見たことがあると回答している。そして、公演について会館の配慮が感じられ80%の方が障がいへの理解が深まったとしている。
音・響き・人・楽器により一つの空間で「思いを伝え」「思いを感じる」ことで充実感や達成感につながったと考えられる。多彩な内容は、聴覚障がい者による手話ソング、障がい者を支援しているグループの「なないろバンド」の演奏、障がいを持つ人とアーティストによる「音のセッション」、クラウンパフォーマンスなどがあり、特に和洋楽器混成インストゥルメンタル「ネオ・ジャパネスク」の演奏は好評であった。 そして、このようなイベントは公共ホールの社会包摂の役割にも関わることだということも明らかになった。ホールが文化・芸術に関わる特性を活かし、社会の中に居場所がない、社会的な安定性を持たない人々に対して社会参加の機会を可能にする良い機会と考えられる。
最近、特別支援学級を受け持つ知り合いの中学校教諭から、合唱曲の作曲依頼を受け大学関係者にお願いをした。条件は「歌っていて元気の出る曲」「発達障がいの重い子にも出番がある曲(叫び声や怒鳴り声も音楽表現と包み込める曲)」であり、五線譜では表せない音程とかリズムのずれも許容する合唱曲である。
出来上がった曲を自由曲として、音楽コンクールの混声合唱の部に出場する予定があるそうだ。実際に曲が出来てコンクール出場の結果を報告できればと思っている。