― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

2017年 7月号 アウトリーチの実施

今月は月1回発行している「ゆめプラ通信」の号外が2回にわたって発行された。号外の内容は、6月13日(火)~22日(木)に武豊町内4小学校12クラスの生徒たちにパフォーマンスを繰り広げたグループの活動報告である。

グループは京都で人気の劇場「ギア ‐GEAR-」で活躍するジャグリング(複数の物を空中に投げたり 取ったりを繰り返し、常に1つ以上の物が浮いている状態を維持し続ける技術)、パントマイム(台詞ではなく身体や表情で表現する演劇の形態)、マジック(奇術、手品)のトップパフォーマー「ratio -レシオ-」3人の出演であった。

本館は2007年度から舞台芸術のアウトリーチ活動(公共機関の現場出張サービス)を武豊町教育委員会と協働して実施してきた。実施は小さい会場で少人数の小学校4年生を対象に行ってきた。今回は実際に富貴小学校でパフォーマンスを体験し教育との深いつながりを感じることができた。

ワークショップの終了時にレシオのメンバーが生徒に言っていた言葉「パントマイムは創造力である」「ジャグリングでは失敗を恐れず行うことである」「マジックはコミュニケーションに役立つ」が印象に残った。

教育とは教え育てることであるが、知識を増やし技能を身に着けさせることも人間性を養う上において重要であり、今回のような学校における鑑賞経験も必要である。最近では子どもたちが育つ社会環境が変化し、キャリア教育の必要性が叫ばれるようになっている。

学校におけるキャリア教育・職業教育の基礎的・汎用能力として「人間関係形成、社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」が必要とされているが、社会人基礎力として「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」も求められており、ジャグリングは失敗を恐れず前に踏み出す力を養い、パントマイムは考え抜くことで創造力に役立ち、マジックはコミュニケーションによりチームで働く力に効果があると考えられる。

私自身、中学生時代に学校の体育館で聴いた木管三重奏の演奏を鮮明に覚えている。当時としてはクラシック音楽とかワークショップという言葉が一般的でなく、ドイツのオーケストラで活躍する卒業生が中心となり、帰国した折に演奏を実施していただいたように記憶している。

小・中学生の学校における文化芸術体験が減少傾向となっている中で、アウトリーチを継続していく意義は大きいと考えている。今回のように実演家が理解を示し実施できる例は決して多くないが、目の前のフラットな状況の中で子どもの直接的な反応に接することは、実演家にとっても新たな創造性を生む可能性があり、積極的に実施していただくことを願っている。