― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2017年 9月号 NPOたけとよ鑑賞事業

9月になってアウトリーチが保育園で行われた。今回は、NPOたけとよ謝恩事業として「人形劇団プーク」の公演が実施された。その中の1か所である北中根保育園で園児と一緒に鑑賞をした。

人形劇は人形を介して表現する演劇であるが、私の年代の理解としてはパペットという操り人形を思い浮かべてしまう。長い間人形劇を鑑賞していないが、今回の公演は人形劇上演のために、関連する領域を取り込み幅広い総合芸術として完成させていることが理解できる内容であった。

当然人形を操る人は黒衣姿と認識していたが、一部で黒衣を感じさせるものの、カラフルな服装で人形との一体感が感じられた。実際に手品やパントマイムの要素が入り、セットのデザイン性や色彩、造形的な工夫が見られ、音楽・音響、照明も現代的な装置が用意され、総じて印象に残る公演であった。

今回の公演スタッフは4人で基本的に全員が人形を操っていたが、場面に応じて音響や照明操作を担当し、スタッフの役割が広がりを見せていることを知ることが出来た。

上演された演目は「ふしぎな箱」と「ハリネズミと金貨」で、保育園児にとって適当な公演時間であった。そして園児が鑑賞する中で、物語の先読みをして元気に声を発することには驚かされた。

この数十年、幼児や児童を対象とする芸術公演がアウトリーチという形で行われるようになったが、私自身の経験から言えば公演対象者の立場に立ったプログラミングや適切な上演時間に対する検討が不十分で、思ったような効果が得られない時代が続いたように感じている。公演の意義をどのように設定し、求める効果が何か、総合的に考えて一過性に終わらないようにしなければいけないと考えていたところである。

最近、多くの舞台芸術分野が多様化し新たな形態で活動している。「声優」と言えばアニメソングに代表される映像へのセリフの吹き替えや歌唱を思い浮かべるが、現在では幅広い資質が求められ、特に演技力が重要となっている。そのため、発声や滑舌に加え歌唱レッスン、身体的トレーニングを積むことが必須となっている。特に多岐にわたる資質の中で、ダンスも必要とされ、顔出しも求められるようになっている。

従来の演奏を主体としたアウトリーチも、鑑賞公演としての演奏だけに止まらず、演奏者の司会や気の利いたコメントが必要とされるようになっている。純粋に演奏能力だけが求められた時代から、プラスアルファーが求められ、演奏の印象効果をあげる付加価値が大切になっている。

実演家はそのような時代の変化に対応し、活躍の場を広げる努力を継続することが求められると考えている。