2018年 1月号 自治体の文化芸術の取り組み
これまでの館長便りを執筆する中で、文化芸術振興について何度か記述してきた。平成13年に国の文化芸術にわたる基本的な法律として「文化芸術振興基本法」が施行され、その後4回にわたり基本的な方針が示され文化芸術の振興に関する取り組みが行われてきた。
平成29年に法律が改正され、趣旨として文化芸術の振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の関連分野における施策を法律に取り込み、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展および創造に活用することとし、法律の題名を「文化芸術基本法」に改め、前文と目的について整理を行った。
同時に文部科学大臣が文化審議会に対し、文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的なありかたについて「文化芸術推進基本計画(第1期)の策定に向けて」の諮問があり、12月に中間答申が出され、パブリックコメントの募集が行われ、私の所属する「日本音楽芸術マネジメント学会」では、今月コメント案を提出したところである。
昨年から愛知県文化芸術振興に関する有識者会議に委員として出席し「文化芸術の振興に係る条例の制定」並びに「新たな推進方針の策定」について議論を重ねている。愛知県は「文化芸術創造あいちづくり推進方針」を策定し「あいちトリエンナーレ」をはじめとする文化芸術事業に取り組んでいるが、条例の制定と推進方針の策定によりさらなる強化を図る方針である。
今年度は県内自治体で芸術文化振興関連の策定や改定が行われているが、武豊町では町民会館設置に合わせた早い時期から文化創造プランを策定し、平成25(2013)年に「第2次武豊町文化創造プラン(平成25年度~平成34年度)」を策定しプランに基づく取り組みが順調に行われている。
私自身、東海市では東海市芸術劇場の開館に合わせ平成26年3月に「東海市文化創造プラン」策定、小牧市では平成23年に策定した「第2次小牧市文化振興ビジョン」の中間見直しに関わってきた。平成29年度に「こまき市民文化財団」の設立が実現し、文化振興ビジョンに基づいた運営が行われている。
昨年度は春日井市文化振興審議会会長として「かすがい市民文化振興プラン」の計画が平成29年度で終了するため、平成30年度からの振興プラン策定に関わり今年1月15日に市長に答申をしたところである。刈谷市では平成24年に「第1次刈谷市文化振興計画」の中間改定の策定アドバイザーとして計画改定に関わり、現在第2次文化振興基本計画の策定委員会委員長として今年度中に計画を答申する予定である。民間調査機関によれば、自治体の文化振興ビジョン・プラン等の策定は全体で55%、都道府県では94%、人口30万人以下の自治体では46%に止まるという調査結果が出されているが、愛知県内で文化事業運営が活発な自治体はビジョン・プランの策定がされていると考えている。