2018年 2月号 特色ある芸術と科学のハーモニー事業
2017年度の鑑賞事業がほぼ終了し「芸術と科学のハーモニー事業」を残す中、12日に「まもなくRyugu(リュウグウ)へ到着~小惑星探査機はやぶさ2のこれまでとこれから~」が開催され、はやぶさ2プロジェクトマネージャーの津田雄一氏による講演会を行った。
本館は開館と同時に「芸術と科学のハーモニー事業」を鑑賞事業と並ぶ事業の2本柱として運営を行っており、2011年8月には「はやぶさ」帰還カプセル展示が行われ、当時のプロジェクトマネージャーの川口淳一郎教授による「はやぶさが挑んだ人類初の往復の宇宙飛行、その7年間の歩み」講演会が盛況のうちに行われた。4日から7日まで4日間の帰還カプセル展示に、延べ1万4千人の方が会館を訪れ見学していただいた。
本館ではやぶさ関連の事業が実施される背景は、ペンシルロケットの開発者で日本の宇宙開発・ロケット開発の父と呼ばれる糸川英夫博士が、日油(旧日本油脂)株式会社 愛知事業所 武豊工場から固体ロケット燃料を調達し研究を進めたことある。
現在ではロケットに日油株式会社の固体推進薬や火工品が数多く搭載されていることから、日油の協力を得て講演会を行っている。はやぶさ2は今年6月~7月にRyuguに到着する予定で、今後もロケット関係の事業を継続して実施する予定である。
17日には特別講演会「想像するちからーチンパンジーが教えてくれた人間の心―」が行われた。講師は京都大学高等研究院特別教授の松沢哲郎博士である。松沢先生は「アイ・プロジェクト」と呼ばれるチンパンジーの心の研究を始め「比較認知科学」と呼ばれる新しい研究領域を開拓し、1985年にプロジェクトの研究成果がイギリスの雑誌「ネイチャー」に掲載されて一躍世界的に注目され、2013年には文化功労者となっている。研究は「人間とは何か。」を考えながらチンパンジーに寄り添うようにして続けてきた内容を話された。
今回の2つの事業には就学児童が数人見受けられたが、どちらも分かりやすい話で退屈することなく参加していたのが印象的であった。
さて、今回の2つの事業を終えて検討すべき課題がでてきた。講演会はいずれも入場無料で整理券を配布することとしたが、事前に200席を予定して整理券を配ったが、結果として当日の入場者は110人程度であった。
理由としてはいろいろ考えられるが、冬期いうことで年配の方にインフルエンザや体調不良で急に欠席を余儀なくされる方がいたのではないか。また、4年に1度の冬季オリンピックにおいて人気競技の中継が講演と重なったこと。無料配布のため欠席しても構わないという意識があったのではないか。
いずれにしても半数近くの当日欠席がいたことは大きな問題と考えている。