― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2019年 12月号 「オーケストラと第九公演」

12月になるとベートーベンの第九交響曲の演奏会が集中するが、最近は公演回数が減少しているようである。日本全国で演奏される第九交響曲の回数は150回前後とされるが、開催形態はオーケストラの主催と、合唱団が主催で実施するものに分けることができる。

日本のプロオーケストラは、オーケストラ連盟加盟正会員25団体、準会員11団体の36団体である。合唱団は5,000弱の団体が存在するが、プロ合唱団は数団体である。オーケストラの多くは、年末に主催公演として第九交響曲を企画実施しているが、複数回実施する場合は依頼公演である。

合唱団が主体で第九交響曲を演奏する場合は、各パート人数が揃わず複数団体で合唱団を組織する場合と、一般市民に呼びかけ参加者を募る例が多くみられる。年末の風物詩となっている第九交響曲の演奏会は日本における音楽界に定着している。

そもそも欧米ではベートーベンの第九交響曲の演奏会は少なく、最近でこそ国や地域の大きな行事があると第九を演奏することが増えているように感じている。オーケストラ演奏に合唱が入り祝祭的要素のある構成が受け入れられているようである。

私自身オーケストラ団員であった17年間に200回を超える第九交響曲を演奏しているが、その都度指揮者や独唱者、合唱団が変わるので常に新鮮な思いで演奏していたことが思い出される。第九交響曲の演奏を始めた当時、70分弱の演奏時間の中で最後の第4楽章に出番がある独唱者、合唱団が最初から舞台に入場して立っていたが、しばらく年を経て舞台に椅子が置かれることになり、第4楽章の始まりと同時に合唱団が椅子から立ち上がる音がとても気になった覚えがある。

その後、第2楽章までオーケストラだけが舞台で演奏し、第3楽章の前に休憩ではない短い時間をとって独唱者と合唱団が舞台に入場する演奏が一般的になっている。最近では合唱団も少子高齢化の影響で、特に男性の高齢者が舞台に立つ場合が多く、このように楽章途中からの入場で椅子に腰かけるスタイルが定着している。

第九交響曲の演奏が多い理由は、入場券が完売し収入が見込めることで脆弱なオーケストラ経営に寄与することで複数回の演奏会を実施してきた歴史がある。しかし、今ではチケット販売も期待したほど売れることは少なくなっている。

本日19日は名古屋芸術大学フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会があり、ベートーベンの第九交響曲を演奏するのでこれから愛知県芸術文化センタコンサートホールに出かける。今年から学生だけによる成果発表的な演奏会をあらため、オーケストラや独唱者、合唱団に卒業生や保護者、一般市民の参加者を加えることになった。オーケストラは講師として学生を指導している名古屋フィルハーモニー交響楽団やセントラル愛知交響楽団のメンバーも演奏に参加し、学生にとって実践的な演奏を経験することになり貴重な体験となることを願っている。