― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2020年 1月号 「地域文化施設の社会とのかかわり」

私自身自治体文化施設に携わり、常に芸術との関わりの中で運営を考える立場にある。文化施設は時代とともに社会の影響を受けて変化を求められているが、一般論として過去の運営体制に縛られた一部の事業で企画力が発揮できていない例が見受けられる。

あらためて芸術の意味を調べると、特定の材料・様式などによって美を追求・表現しようとする人間の活動及びその所産とされている。その内容は3つに分類され、時間芸術としての音楽・文学、空間芸術としての絵画・彫刻・建築、そして総合芸術としてのオペラ・舞踊・演劇、映画などとされている。

分類されたそれぞれの芸術の中で、音楽や文学は一定の時間をかけてストーリー性のあるものを鑑賞する芸術であり、二次元の絵画、三次元の彫刻や建築は空間に形を表現する芸術、オペラや舞踊は複数の芸術分野が協調した形式の芸術とされている。

現在では、社会環境の急激な変化の下、芸術を取り巻く環境が大きく変化し新たな創造物を生み出す必要性が叫ばれている中、従来からの芸術活動が活力を失っている状況がある。

今までの芸術はそれぞれの分野に関わる技術の習得により、演奏家や作家自身の求めるものを創作し社会に発表し、社会との関わりについては個人の思いの表現にとどまっていたと考えられ、一部の作品や作家だけが評価されていた。今後は、社会の動向をしっかり捉えて創作活動を行なった作品を文化施設で公演することが望まれる。

そこで参考になる資料を紹介したい。2018年11月に文部科学省の中央教育審議会において2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)があり「2040年の展望と高等教育が目指すべき姿」が発表された。
その中では、2040年ごろの社会の姿として次の5項目が示されている。

(1)SDGs(持続可能な開発のための目標)すべての人が必要な教育を受け、その能力を最大限に発揮でき、平和と豊かさを享受できる社会へ。(2015年9月国連で開かれたサミットで世界のリーダーによって決められた国際社会の共通目標で17の目標と169のターゲットで構成)

(2)Society5.0・第4次産業革命(現時点では想像もつかない仕事に従事、幅広い知識をもとに、新しいアイデアや構想を生み出せる力が強みに。

(3)人生100年時代(生涯を通じて切れ目なく学び、すべての人が活躍し続けられる社会へ。)

(4)グローバル化(独自の社会の在り方や文化を踏まえたうえで、多様性を受け入れる社会システムの構築へ。)

(5)地方創生(知識集約型経済を生かした地方拠点の創出と、個人の価値観を尊重する生活環境を提供できる社会へ。)

SDGsでは、デザインでの取組みが先行しているが、芸術による障がい者や高齢者へのアプローチが可能とされている。Society5.0では、AIやビックデータ、IoT、ロボティクス等の先端技術が高度化する超スマート社会で芸術の在り方が変わることが予想される。人生100年時代は教育・雇用・退職という伝統的人生モデルがマルチステージの人生に代わる中で芸術との関りが深まる。グローバル化では、在留外国人、海外邦人が増加し、社会のあらゆる分野で国境を越えた芸術文化が活性化する。地方創生では、地方拠点の一つとして地域文化施設の役割が重要となり、地域住民との関りが強く求められる。

20年先の社会の在り方を見据え、社会との関係を重視した芸術活動を行っている個人、グループの情報を集め公演の企画を考えてゆくことが重要と考えている。