2021年 10月号 「新しい舞台」
10月17日をもって新型コロナウイルス感染症対策に対する愛知県独自の「厳重警戒宣言」及び「厳重警戒措置」が解除されたが、引き続き感染再拡大の防止に向け「警戒領域」として必要な対策を継続実施するよう公表されました。
18日からの警戒領域期間内における県有文化施設である愛知県芸術文化センターでは、人数上限が5,000人又は定員50%以内のいずれか大きい方・収容率50%以内(大声あり)又は100%以内(大声なし)となっています。
コロナ禍で、文化施設や実演家が公演の延期や中止により多大な影響を受けています。
コロナ第5派は終息したが、第6派の到来が予測される中で正常な運営に戻ることは難しく、今後も以前のような公演形態に戻すタイミングに躊躇すると思われます。
そのような中で舞台芸術公演が縮小して上演される例が増加しているように感じています。収容人数を制限される中で、新しい公演の形態がそれぞれの専門分野の枠を超えて、複数の専門が融合した舞台が形成されようとしているようです。
従来から音を主体とする事業は音楽会としてコンサートホールで行われ、音の響きや伝わりが重視されてきました。舞台の視覚的な演技を主体とする事業はオペラハウスで行われ、舞台装置の設置空間が重視され、オペラでは音楽的歌唱と演技、バレエでは舞踊空間が重視されてきました。また、身振りや台詞を主体とする事業は演劇として、小規模の劇場で声の明確な伝わりを重視されてきました。
コンサートや舞台公演は19世紀後半から変わらない上演スタイルを維持してきましたが、音響機器や照明機材、そして映像技術の進化により収容人数の多い建物や空間で公演が行われるようになり、新しい公演が行われるようになっています。
そして、諸外国と違い日本では事業に応じた専用ホールではなく、歴史的に様々な舞台に対応できる多目的ホールが建設されてきました。最近でこそ専用ホールが建設されていますが、コンサートやオペラ、バレエ公演に期待する聴衆を集客できない状況となっています。
一方で民間のミュージカル専用劇場においては、演目の話題性もあり一定の集客が確保できているようです。
コロナウイルス感染症の感染拡大により、コンサートや舞台公演が延期や中止となる中で、収容人数を減らし、上演内容を変更するなどで対応しているが、舞台上の編成の縮小化や他分野との融合を図る新しい舞台が生まれつつあるように感じています。
公演の同時配信、簡易ステージでの公演、そして音と映像、音とダンス、音と美術など可能性が広がっています。