2021年 3月号 「コロナ禍での演奏会」
「武豊春の音楽祭2021」も後半になり、3月7日に「Swing Band TAKETOYO(SBT)」が初めての演奏同時配信に挑戦した。コロナウイルス感染症が拡大してから、昨年の公演を中止したので1年ぶりの公演である。評判は上々で、SBTの新しい魅力が引き出されたと感じている。
緊急事態宣言が出されてから、公演の収容定員が50%に制限され、多くの公演が中止又は延期となる中で「武豊春の音楽祭2021」は感染対策を行って実施し、特に混乱なく終了すると考えている。
最近、近隣自治体で2021年度予算編成の議会が開かれているが、私が関係するいくつかの自治体の文化振興や生涯学習課において2021年度予算が厳しい状況であるという声が聞こえてきている。2020年度の文化事業がコロナの影響で予算執行ができず、宙に浮いた形となり、2021年度に確実にコロナが収束し事業ができる確約ができない中で、例年並みの予算を編成できないようである。
事業について、鑑賞型事業では観客数を50%以内で実施することで可能であるが、一部実演家の密集に配慮し、舞台上の人数制限を設けるところもあるようだ。アウトリーチやワークショップでは、事業の性格から密閉、密集、密接を避けることが出来ないので、実施を延期する例が多くみられる。
最近多くなってきたのが、プロフェッショナル団体において通常通り公演を実施するが、収容定員50%以内の観客、あるいは無観客で同時配信を行うことが増えてきている。講演や各種講座についてはオンラインで料金を徴収する事業も見受けられる。
今月になりワクチン接種が医療従事者を対象に始まり、今後順次65歳以上の高齢者、基礎疾患のある方や高齢者施設従業者などに接種され、その後一般の方に接種するとされているが、行き渡るまでどの程度時間が掛かるか分からなく、少なくとも2021年度内は接種で混乱するのではないかと思われる。
また、緊急事態宣言の解除と施行が繰り返され、最悪変異ウイルスの広がりで第4波の懸念もあり、クラスターの発生にも注意しなければならず、事業公演が正常に戻る見通しが立たないというのが率直なところである。
そうなれば、都合が悪く公演の日時に来館できない方や、子どもが小さく公演には出かけられない方などへの対応として、同時配信を行うことの必要性が高まり、新たな鑑賞の在り方を提供できるのではないか。
今までは生公演とCDやDVD等による録音物で音楽鑑賞をしていたが、ここに同時配信が新たな取り組みとなり、ライブ感覚で新たな楽しみ方として一定の存在感を出すきっかけになると考えている。武豊町民会館においても、これを機会に同時配信に取り組んでいただきたい。