2022年 2月号 「2月の公演」
古い話で恐縮します。私が演奏活動を始めた50年前は、2月と8月は公演が少なく、芸術団体関係者は年間を通じて公演が実施できるよう苦労していました。公演を実施する会場の冷暖房が不十分という環境の問題、社会活動が季節に左右されるなど、公演を企画できないことが理由としてあげられます。
「2月8月の法則」がありますが、世間一般には商売が低調で売り上げが他の月と比べ少ない、という意味の言葉とされています。2月は日数も少なく、音楽業界も確実に開催数が少ないというデータがあります。
今では季節と結びついた事業を含め、1年を通じて公演が開催されています。それでも2月と8月は月間単位の公演が少ない傾向となっています。加えてコロナウイルスの感染拡大により以前のような公演が開催できない状況が続いています。
音楽関係団体に限った公演について述べると、従来は定期演奏会や特別演奏会という自主公演が中心で、一部依頼公演が実施されていました。その後、小中学生の音楽鑑賞公演のため、実際に学校の体育館で演奏を鑑賞するアウトリーチ活動が加わり、現在では音響の良い地域の文化施設、ホールに生徒が集まり演奏会を鑑賞するようになっています。
依頼公演については、いわゆる周年事業の一環としての公演から、より幅広い鑑賞者を対象とした演奏会が企画実施されるようになっています。
このような状況で武豊町民会館の公演企画について、その可能性を述べてみようと考えました。新たな公演企画としては、高齢者やZ世代(1990年代から2010年に生まれた15歳から25歳ぐらいの世代)を対象としたアプローチが必要になっています。
高齢者には、アウトリーチ事業や子や孫を同伴できる事業、そして日本伝統芸能を加えた企画、歌唱やダンス&コミュニケーションを取り入れる参加型事業も好まれるようになってきました。実際に来場する際の交通の利便性についても考慮が求められ、コミュニティーバスの運行やタクシーとの連携が求められます。
Z世代には、IT化・デジタル化が進んだ時代に育ち、音楽配信サービス利用率が高いので、アニメやゲーム音楽を好んでいます。様々な組み合わせで新たな事業を提供することの可能性が増えています。
また、地域の行政の福祉部門と連携し、地域ニーズを取り込んだ事業の実施が必要となっています。いわゆる地域力の創造・地方再生を推進するため、総務省や地元企業との連携で実施する事業の実現が望まれます。