― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

2022年 4月号 「オーケストラの歴史Ⅰ」

今年度の館長便りは、オーケストラについて執筆しようと考えている。それは、ゆめたろうプラザを利用する観客の各種事業アンケートに、オーケストラ公演を希望する方が多いからである。

内容は、私が17年間のプロオーケストラ団員として、演奏に従事する中で経験した活動を通じたオーケストラの魅力について紹介する。オーケストラとは、日本語では交響楽団や管弦楽団と言われるが、日本オーケストラ連盟に加入する正会員25団体の中で、交響楽団が20団体、管弦楽団が5団体となっている。

名称は所在する都市名やスポンサー名を冠し、フィルハーモニーを挿入しているのは10団体で、世界の有名楽団もフィルハーモニーの挿入が多くなっている。これはギリシャ語のphil(愛す)とharmonie(調和)の意味である。

音楽を合奏体で演奏するものは、「アンサンブル」「バンド」「オ―ケストラ」の名称が用いられるが、編成の大小に関わらず弦楽器、管楽器、打楽器で構成され、楽器編成を指定している作品を演奏する団体をオーケストラと呼んでいる。

オーケストラの発達にとって古典時代(18世紀中頃~19世紀初頭)が重要であり、それは交響曲の存在が大きく影響している。F.J.ハイドンやW.Aモーツアルトが交響曲を作曲し活躍した時代である。また、音楽形式の発達も大きく影響している。

ルネサンス期(14世紀から16世紀)は、グレゴリオ聖歌に代表される単旋律音楽(モノフォニー)である。バロック期(17世紀初頭~18世紀中頃)はメロディーと伴奏の区別がない多旋律音楽(ポリフォニー)である。古典派は、メロディーと伴奏が区切られた和声重視の単旋律音楽(ホモフォニー)である。古典派以降の音楽形式は、現代にいたるまでホモフォニーとなっている。

また、楽器の発達も影響がある。ルネサンス期は歌が中心で、アンサンブルにおいても楽器指定がなく、楽譜に書かれた音符が演奏できれば、歌でも楽器でも演奏が自由であった。バロック期は、弦楽器が発達したが、管楽器の発達が遅れていて、色彩的に多様な音楽の出現までまだまだ時間がかかることになる。

一説として、音楽歴史上オーケストラ曲の始まりとされている作品がある。それはルネサンス期の作曲家、ジョバンニ・ガブリエリ(1557-1612)の八重奏作品である「ピアノとフォルテのソナタ」(1597年刊、サクラ・シンフォニア集)が、作品に初めて楽器指定(1ヴィオル、3コルネット、4サックバット)がされ、楽譜上初めて強弱が出てきたことによる。
それまでの声楽中心の音楽の在り方が、この曲の出現で純粋な器楽曲として演奏されたからである。以後バロック期に向かって楽器の発達(特に弦楽器)にも助けられ、オーケストラが完成されていくことになる。