2022年 5月号 「オーケストラの歴史II」
オーケストラと言えば、ホール舞台上に配置された楽団員が、交響曲等を演奏する情景が浮かぶ。編成は室内オーケストラを除くと60人を超え、木管楽器の編成人数を基礎に決まるようになっている。
オーケストラは2管編成や3管編成というように編成され、2管編成は60人前後、3管編成は80人前後、4管編成は100人前後である。管楽器は楽譜で奏者が指定され、弦楽器はプルトと言って1つの楽譜を2人1組で見るようになっていて、多少の増減がある。
2管編成で、第1ヴァイオリンを5型(10人)とするか、6型(12人)とするか曲目や演奏効果により編成を決定することがある。第1ヴァイオリンが12人であれば、第2ヴァイオリンは10人、ヴィオラが8人、チェロが6人、コントラバスを4人とすることが標準編成で、時には編成人数が奇数になることがある。
(公社)日本オーケストラ連盟資料によると、正会員オーケストラ25団体の中で、4管編成以上は3団体(N響、読響、東フィル)、3管編成は7団体(札響、新日フィル、東響、都響、日フィル、名フィル、京響)、2管編成が16団体に分類できる。
標準的2管編成オーケストラ楽曲は、L.v.ベートーヴェンによって完成を遂げるが、その後、後期ロマン派(1850年~1890年)で多くの楽器が誕生又は改良が施され、編成が大きく膨らみスケールの大きい楽曲が作曲されるようになった。
L.H.ベルリオーズが1830年に作曲した幻想交響曲が、オーケストラ編成の新しい可能性を広げ、1844年に刊行された管弦楽法により、一気に大オーケストラ全盛時代が訪れることになる。
当初は限られた場所で、特権階級のための組織として存在し、宮廷オーケストラとして活動していたが、音楽文化が市民階級に移行するに従い、公共団体が運営するオーケストラが出現する。そして、常にオーケストラ伴奏を伴うオペラの誕生により、劇場専属のオーケストラも活動を始めることになる。
作品の多様化により地域を基盤に活躍する他、何かあるごとに必要なメンバーを集めたフリーオーケストラが出現し、レコード会社、放送局との関係が深いレコーディング、放送を目的として組織されたオーケストラも活躍するようになる。
オーケストラの36%が東京(在京オーケストラ9団体)に集中し、地方オーケストラが16団体となっている。正会員ではないが、劇場専属として宝塚歌劇オーケストラが存在する。オーケストラ関係者が、1997年新国立劇場開設と同時に専属オーケストラ設置を希望したが、叶わなかった。
タイミングよく「ゆめプラワンコイン映画界会2022(~オーケストラ~寄せ集め楽団が巻き起こす奇跡の物語)」が7月17日に上映されるので、鑑賞を楽しんでください。