― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2022年 6月号 「オーケストラの歴史III」

オーケストラの演奏曲は、交響曲作品が主要であり、公演プログラムにおいて重要な扱いがされている。一般的なコンサートプログラムは、序曲と協奏曲があり、公演を締める意味で最後に交響曲が演奏されている。交響曲は多楽章で構成された大規模な楽曲で、オーケストラ演奏の醍醐味であり、交響曲を目当てに鑑賞に来る聴衆も多くなっている。

演奏会で最初に演奏される序曲は、オペラやバレエ公演で最初に演奏される曲であり、曲の内容を暗示する役割を持っている。19世紀になると演奏会用として独立して演奏されるようになった。

協奏曲は、独奏楽器とオーケストラによる多楽章の楽曲である。独奏楽器は圧倒的にピアノが多く、次いでバイオリンとなっている。独奏楽器の部分が声楽による演奏は、オーケストラ伴奏で独唱するアリアと言う音楽形式となっている。

演奏会を鑑賞する動機は、指揮者、オーケストラとともに曲目や独奏者によって鑑賞機会が左右されるようである。そして、演奏曲目は作曲家の生誕、没後というメモリアルイヤー特別公演が企画され、特定の作曲家の曲目を連続して演奏する公演(チクルス)も行われている。

交響曲について、公益財団法人日本オーケストラ連盟資料によれば、加盟26プロオーケストラの2016年度定期演奏会作曲家ランキングで、1位がベートーヴェン、2位がモーツアルト、3位がショスタコーヴィチとなっている。2016年は、モーツァルトが生誕260 年、生誕110 年がショスタコーヴィチということが影響していると考えられる。

私が演奏に従事した名古屋フィルハーモニー交響楽団の1971年4月の第9回定期演奏会から、1989年3月の146回定期演奏会までの交響曲を調べると、1位がブラームス、2位がベートーヴェン、3位がチャイコフスキーとなっている。

日本オーケストラ連盟の記録では、ブラームスが5位にランクされているが、前年度は2位になっていて、メモリアルイヤーの影響があったと考えられる。

交響曲と並んで「交響詩(標題音楽で単一楽章で作曲された曲)」と「交響組曲(標題性が強い多楽章形式の曲)」も交響曲の代わりにプログラムに加わることがある。名古屋フィル在籍中は、R.シュトラウスの作品が5位にランキングされていた。また、交響組曲も交響曲に代わるプログラムとして位置づけられる場合がある。

上位にランキングされる作曲家の交響曲について、演奏家の立場からモーツアルトはテンポとバランスを適切に保てば良く、ベートーヴェンは構成が完成されているため、楽器間の音量バランスに注意することで、一定の完成度が実現できる。

ブラームスの交響曲は、完成に近づけることが難しく、常に演奏課題を抱えながらの演奏となる。理由としては音が大きく跳躍ことによると考えられている。