― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2023年 10月号 「久しぶりのオペラ鑑賞」

竹本義明

名古屋二期会の主催するオペラ「カルメン」を鑑賞した。オペラを鑑賞するのは久しぶりで、1970年代の学生時代からオーケストラ団員時代は、伴奏でオーケストラピット(普段客席として使用しているスペースの舞台側の座席を外して、周りの客席面より一段低くした場所)から演奏の合間にストーリーや歌唱、演技を楽しむことがあった。

今回の公演は、コロナ感染症の影響で公演が延期になるなど、苦労があったと聞いている。出演の方も自らコロナに罹患するなど、配役の変更を余儀なくされたようである。オペラ公演には多額の予算が必要となるが、本公演も厳しい状況が考えられ、今後継続してオペラ公演を実施するために影響が出ないことを願っている。

今回の公演は、武豊町民会館が2年に一度実施している音楽祭で、実行委員長を務める永井秀司さんが、竜騎兵長のドン・ホセ役で出演することも楽しみの一つであった。また、舞台セットが4幕を通じて一つの設定で、それぞれの幕は照明他で印象を変えるものになっていて、時代の変化を感じることとなった。

あらためて、私のオペラ「カルメン」との関わりを思い出すと、学生時代にエキストラで演奏に従事した東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、そして寄せ集めオーケストラで、労音(勤労者音楽協議会)や民音(民主音楽協会)のオペラ公演で地方公演に関わったことである。

当時、カルメンは成田絵智子さんや伊原直子さん、ドン・ホセは五十嵐喜芳さんや丹羽勝海さんが演じていた。カルメンの成田さんは当時のメゾ・ソプラノ歌手としては大柄な方で、舞台映えのする方でした。五十嵐さんは高音域の声に特徴があり、一度聴いたら忘れられない印象がある。

自分の専門領域の楽器との関連でもカルメンは特徴がある。オペラでありながら後に組曲が作られ、オーケストラだけで演奏が可能で、カルメンが広まるきっかけになったと考えられる。そして、前奏曲のコルネット(形状や音色がトランペットと似た楽器)の楽譜は、オーケストラ曲で唯一出すことできない音が楽譜に出てくる。通常使う楽器(B♭菅)の最低音はファ♯ですが、ファの音が記載されている。

実際の演奏では、他のパートでも同音が出されているので、邪魔にならないよう、音程が崩れないように音域外の低音としてペダルトーン(金管楽器の倍音列における特殊な低音)で処理することになる。そして、コルネットによるファンファーレが演奏されるが、オーケストラピット内で演奏するのと、ピットを抜け出して舞台奥、あるいは舞台袖で演奏される。

今でこそオーケストラピットを持つ劇場があるが、ピットが設置されていない劇場では演奏者の間を通って舞台に出入りし、舞台上の演技や歌唱に影響を与えることもあったと記憶している