2023年 12月号 「吹奏楽活動の新しい取り組み」
竹本義明
先月25日に東海吹奏楽連盟創立90周年記念式典と祝賀会が開催され出席してきた。東海吹奏楽連盟は、全日本吹奏楽連盟に先駆けて1934年に設立された歴史ある団体である。全日本吹奏楽連盟は1939年に設立され、2021年現在全国11支部13,575団体が加盟している。
東海吹奏楽連盟は、愛知県、岐阜県、三重県、そして静岡県、長野県の5県で構成され、全国的に活動が活発な地区である。そして、連盟が主催するコンクールにおいて、加盟団体は常に上位の成績をおさめている。
当日は、全国の11支部から支部長の方が参加され、旧知の方と懇談し楽しいひと時を過ごすことができた。皆さん中学校時代から吹奏楽活動を行い、現在指導や運営にかかわる方ばかりである。
私も中学校から吹奏楽を始め、高校、大学とトランペット演奏を行ってきた。今から60年前、楽器や楽譜が揃わず、演奏する曲は行進曲が大半であった。そして、吹奏楽独自のオリジナル曲は、それから10年を経て演奏ができるようになった。アメリカから輸入されたスクールバンド用の曲は、吹奏楽の発展に大きく影響を与えたと感じている。
現在では、日本人の若手作曲家の作品が演奏されるようになり、演奏技術の向上とともに世界的にもレベルの高い演奏が披露されるようになっている。内容も吹奏楽コンクールの他、マーチングコンクール、アンサンブルコンテストが実施され、小学生のバンドフェスティバルも行われている。
最近、吹奏楽部活動の地域移行の問題が話題になっている。吹奏楽に限らず中学校や高等学校の部活動について、教員が学校教育の一環として休日に無償で担当していた部活動の指導を、地域のスポーツクラブや民間事業者、地域団体に担ってもらうことを求めたものである。
スポーツ関係が一歩先行しているようだが、文化関係とりわけ吹奏楽の地域移行については、移行に関する不安や懸念が指摘され、実施に当たっての論点や課題の整理もすすんでいないのが現状である。
吹奏楽の部活については、教育機関である大学と教育委員会、当事者である中学校や高等学校、そして吹奏楽連盟による協議による合意形成が必要と考えている。特に吹奏楽連盟の積極的な取り組みは、ステークホルダーである保護者の理解も得られやすいので期待している。