2024年 3月号 「武豊町制70周年と町民会館20周年」
竹本義明
年度末を迎え、新年度事業の骨格も固まり、町民会館は新しい年度の事業に向け動き始めた。新年度は、武豊町が町制70周年を迎えるため、記念事業がいろいろ予定されている。町民会館ゆめたろうプラザも、開館20周年を迎え「武豊春の音楽祭2025」が予定されている。
9日には令和5年度武豊町民会館運営委員会が開催され、行政とNPOの協働運営について高い評価をいただいた。全国の文化ホールが運営に閉塞感を抱く中、全国的にも例がない20年間の運営について、しっかり広報し指針となるよう行動することが求められた。
あらためて、武豊町民会館ゆめたろうプラザの事業運営について説明すると、町民会館は武豊教育委員会の所管で、運営には4人の町職員が勤務し、会計年度職員が2人、そしてNPO専任職員が4人、パート職員が4人で運営している。そして、舞台関係技術職員は外部業者への業務委託で3人のスタッフが常駐している。
全国の一般的な公立文化施設と違うことは、年間の事業運営が町関係事業とそれ以外の事業に分けられ、会館の自主事業は実行委員会委託事業を含め、町職員が中心となって文化協会等委託事業として、文化祭、芸能祭、絵画展、名作映画観賞会などを実施している。
一方でNPOたけとよ業務委託事業として、コンサート、演劇、全小学校でのアウトリーチ事業、芸術と科学のハーモニー事業として、事業費総額の44%を随意契約している。これは指定管理者でもないNPOたけとよが、会館オープン以来武豊町と信頼関係の基づき実施してきた形態である。
当然、予算支出についてNPOたけとよに対する随意契約に、町の方からの意見も出たと認識しているが、NPOたけとよの事業展開は、町民の意見を広く集め、的確な事業運営が評価されたからこそ続いてきたと考えている。
NPOたけとよ会員の多くが地域住民の声を聞き、ニーズを事業に反映させるべく努力をしてきた結果が、良い効果を出していると考えている。全国の地域文化施設・ホールで同様の取り組みで、施設の活性化と地域住民の文化芸術享受機会を広げていただきたいと願っている。
自治体が直営以外の事業を外部委託する場合、当然予算が伴うので指定管理者を入札等で指名することになる。武豊町の場合は、NPOたけとよに随意契約で委託しており競争相手はいない。そして、年間事業費として支出された予算は決算で予算内に収める必要がある。
しかし、事業収入となる入場料収入が必ずしも正確に予測できないことから、決算で赤字にならないよう留意する必要がある。収入が増加し繰越しの必要が生じた場合、次年度以降の予算に加算することになるが、町の予算が単年度決算であることから、理解が得られず苦労したことがある。このような事が地域の文化ホールが自治体と適切な関係を構築するための端緒となる。