2025年 2月号 「私の音楽人生 ~名古屋芸術大学教員時代~」
竹本義明
1989年に17年間務めた名古屋フィルハーモニー交響楽団を退職し、名古屋芸術大学の教員に転職した。数年前から非常勤講師を務めていたが、専任教員として大学教育に専念することになり、専門のトランペット実技とオーケストラ、吹奏楽の指導を行った。
大学では、学生に多くの経験をさせるため、海外の大学との提携を推進し、演奏旅行を実施し教員や学生の交流を深めた。1991年には、ウインドオーケストラ初の海外演奏旅行をオーストラリアのシドニーオペラハウスで実現し、1993年にシドニー音楽院と連携協定を結び、学生オーケストラがシドニーとメルボルンで交流演奏会を行った。
1990年から2000年までは、台湾の国立台北芸術大学、韓国の慶南大学、タイバンコクのマヒドン大学音楽院、ベトナムのハノイ音楽院との提携と交流のため訪問し、1997年には韓国大邱でミュージカル公演を行った。1994年から1年間古楽器演奏修得のため、英国ロンドンの王立音楽院で学び、帰国後ヨーロッパでは一般的な古楽器演奏を授業に取り入れた。
その後、自身の教育指導分野変更に伴い、音楽文化創造学科設置のためニューヨーク大学を訪問し、アートマネジメント分野のカリキュラム情報を受け取った。また、録音スタジオ設置のためシドニーのオーストラリアン・インスティテュート・オブ・ミュージックを訪問し、新学科設置と同時に建設を進めていた新校舎に、録音スタジオを追加設置しレコードレーベルも設けた。
2000年以降、美術学部デザイン学科をデザイン学部に、音楽文化応用学科を音楽文化創造学科に改編した。学生や教員の交流が盛んであったアメリカコロラド州デンバー大学ラモント音楽院、ベルギーのアントワープ音楽院、フランスのパリ・エコール・ノルマル音楽院を訪問し、学生による演奏会を行ない交流が続いている。
美術、デザイン分野では、教員個人の交流が多く行われてきた。英国ブライトン大学とは、1997年から姉妹提携を結び、卒業式に相互の教員が訪問し賞を授与している。また、学生の交換留学も盛んにおこなわれている。その他、フランスのディジョン国立美術学校、イタリアのミラノ新美術学院、ドイツのブレーメン芸術大学、中国中央美術学院、マレーシアのマラ工科大学と交流を行っている。
2010年以降は、学長に任用されたこともあり、大学の発展の取り組みを中心に事業を進めた。それまでの学部であった音楽、美術、デザインを芸術学部芸術学科として一つにまとめ、芸術教養領域、舞台芸術領域も加え、「融合と再編」として新たな創造性が創出できるよう2017年から実施した。2007年の人間発達学部の開設と合わせて、感性教育を推進してきた。2024年3月に34年間務めた名古屋芸術大学を退職した。
次号では、武豊町民会館の18年について。