― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2025年 8月号「緊張の夏、落語と狂言」

籾山 勝人

夏真っ盛り、「暑いですね」を聞かない日はないこの頃。夏に出くわす厄介なものに「蚊」がある。蚊は気温が35度以上になると活動が弱まるらしいが、人も同じようなことが言えるのではないでしょうか。一昔前は「蚊帳」という夜寝るときに蚊よけのための寝具があったが、まだお使いの家庭はあるのでしょうか。

さて、7月は、落語会、狂言会のふたつの古典芸能を催した。

落語会は、柳家三三、春風亭昇々、神田伊織(講談)、柳家小じかの4人の噺家が人情物、滑稽物を巧みな話芸で会場を沸かしていた。狂言会は、茂山千五郎率いる家中が3つの演目に加えて、観客を交えての狂言ワークショップでこちらも会場を笑いの渦に。

古典芸能や伝統芸能と言われるふたつのジャンル。この芸能に関して、国の文化審議会ではこのように言っている。

「我が国古来の伝統芸能は,長い歴史と伝統の中から生まれ,守り伝えられてきた国民の財産であり,将来にわたって確実に継承し,発展を図っていく必要があることから,次の施策を講ずる」(註1 文化審議会 文化庁伝統芸能の継承と発展)

また、文化芸術基本法には下記のように表記されている。

「国は,雅楽,能楽,文楽,歌舞伎,組踊その他の我が国古来の伝統的な芸能(以下「伝統芸能」という。)の継承及び発展を図るため,伝統芸能の公演,これに用いられた物品の保存等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

国は,講談,落語,浪曲,漫談,漫才,歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く。)の振興を図るため,これらの芸能の公演,これに用いられた物品の保存等への支援,これらの芸能に係る知識及び技能の継承への支援その他の必要な施策を講ずるものとする」(注2 文化庁 文化芸術基本法)

伝統的な芸能は日本各地で公演が行われ、ここ武豊町もご多分に漏れず毎年古典芸能を提供してきた。

古典芸能、伝統芸能と言われる落語と狂言。

二つの芸能の共通点は何か。落語は高座でひとり語り、狂言は素舞台上で演じ語る、語りを通して聴衆の想像力も手伝いながら物語を作っていく。観客の想像力が豊かなほど舞台に引き込まれていく舞台芸能。口伝により何百年も脈々と受け継がれているふたつの芸能舞台。

ではどちらが歴史が古いのか?

世阿弥が狂言を考案したと云われているので、狂言は1400年代、一方落語は1600年代中頃に露の五郎兵衛が民衆相手に落とし噺をしたのが始まりと言われている。(諸説あり)

いずれにしても芸能を伝承する芸能人がいる限り、それを鑑賞する人々がいる限り、伝統芸能が「蚊帳の外」に置かれることはないのである。