― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

ゆめたろうプラザ

2025年 9月号「華咲く芸術の秋」

籾山 勝人

1946年9月に第1回芸術祭が文部省主催で始まった。終戦の翌年に120余の芸術が2か月間にわたって華開いた。
その後も芸術祭は各地で開催されるようになり、今では47都道府県で芸術の華を咲かせている。

「国際芸術祭あいち2025」が今月13日から始まる。2010年から3年ごとに開催される現代アートの祭典は今年で6回目となる。今回のテーマは「灰と薔薇のあいまに」。混沌とした世には余白という合間が必要だと解釈する。
世界の先端美術やパフォーマンスを知る、観る機会を愛知にいながら体感できる機会が3年に1度やってくる。
キュレーターの中には知人もいるので、これだけの大きな国際芸術祭を担当する苦労話や裏話をいつか聞いてみたいと思う。

さて、ゆめたろうプラザも規模は小さいが、現代アートの鑑賞事業を2005年から毎年続けており、新型コロナウイルス流行期を除き今回で20回目になる。
31人の現代美術作家を紹介してきた。近年は、デジタルアートを中心に触れて遊べる作品が主になっている。夏休みの期間中に親子で参加できて子どもの笑顔と家族の触れ合いを大切にしたいと担当は毎年企画している。
今回は、8月16日から31日までpook「さくを見つける」の体験型アート作品展をゆめプラギャラリーで開催した。本多大和さんのオリジナルデジタルアート作品「ユビサキに咲く」(2021年)、「よなよなを照らせ」(新作)

自らの指先で花を咲かせる「ユビサキに咲く」は、先の国際芸術祭あいちのテーマ「灰と薔薇」に例えると薔薇に当たる。スクリーンに向かって無邪気に指先で花を描く子どもの姿は平和の象徴。
「よなよなを照らせ」は、ライトを灯すと造形物に影絵が映し出され作品を描きだす。中には「灰と薔薇」の灰を想起させる作品もあった。工場の煙突からでる煙、明かりを灯すため走り続けるネズミ、作家は意図していないかもしれないが、深読みすれば人の荒廃を想像させる。
大人になると芸術を、時に邪推な目で見ようとしたりもする。純粋な子どもの目線で芸術を楽しめたのはいつの頃までだったのか?童心に還るためにも平和な芸術の秋を楽しみたい。