6月号 武豊町民会館(ゆめたろうプラザ)の長所と短所
館長 竹本義明
この数年、ホール建設の傾向は客席数1000席を下回る中・小ホールが多くなり、いまや全国の公立文化施設全体の70%を占めている。
1970年代から全国に建設された市民文化会館は、いずれも客席数1000席を超え、多様な公演が可能な多目的仕様として、地方自治体の文化行政に寄与してきた。中・小ホールの建設が増加した背景は、それまでの多目的ホールが芸術分野の公演の質的維持・向上に対応できなくなってきたことが上げられる。
1995年代からは、都道府県並びに政令指定都市で大型の複合文化施設が建設され、一方で専用ホール建設が増加し、行政の横並び体質が崩れる兆しが出てきている。
しかし、実際にホールの特徴を生かし活発な事業を行っているところは少ないのが現状である。公立文化施設では、事業費の削減と指定管理者制度による管理委託で運営が貸館を主体となる中、民間ホールは、比較的アクセスの便利な立地にあることや、事業予算が確保されているため自主事業に特徴のある運営を行っているところが少なくない。
ゆめたろうプラザの長所として三つ上げることができる。
一つは利用者にとって使い勝手がよく開館以来ホール稼働率は6割を維持し、中でも小ホール(響きホール)は利用希望者が多く地域の創造活動に貢献している。二つ目は年間31事業を実施しているが、小規模施設のため事業運営に小回りがきくことや利用料金が手頃であることであろう。三つ目は利用者への窓口対応の評判が良く、公立施設にありがちな窓口業務への苦情が少ないことである。
短所としての一つ目は、アクセスが不便なため、事業によって集客に苦労することである。二つ目は少ない座席数により大型事業実施に制約があり、いわゆる娯楽的事業が実施できないことである。また、三つ目としてチケット販売が会館窓口だけで、購入に不便を感じるという指摘があることである。
ホールとしては、短所の改善に取り組むこととなるが、アクセスについては、その不便さを嘆いても始まらないと考えている。
それは、愛知県内で活発な事業展開をしている地域公共ホールは、いずれも不便なアクセスの中で事業を成功させている状況があり、魅力ある事業の実施が一番の改善策と考えられる。大型事業については、規模にあった事業を展開し、その中で特徴を出すことが必要であろう。
チケット販売については、販売場所の拡大やインターネットチケッティングの導入が考えられるが、ホールの規模からコスト的に実施が厳しいと言わざるを得ない。
もう一つ改善を要することとして、地域公共ホールとしてチケット料金設定を低額に抑えているが、芸術的要素の強い事業の入場料金に対して割高感を言われることが多く、理解を得る必要があると考えている。