― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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1月号 武豊春の音楽祭(第3回武豊ビエンナーレ2008)への期待

館長 竹本義明

2005年から東京有楽町の国際フォーラムを会場として始まった「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(熱狂の日)」の取組みは、低料金でクラシック音楽を楽しむためのイベントとして市民権を得ているようだ。2006年には仙台市において「仙台クラシックフェスティバル(せんくら)」が行われ、2008年は東京以外で初めて北陸で「ラ・フォル・ジュルネ・オ・金沢」が開催された。いずれの音楽祭も予想を超える聴衆が集まり、来場者の約8割がクラシック音楽のコア層以外であるということであった。

開館5年目を迎えた本館は、隔年開催の「武豊春の音楽祭」を、2月20日から22日の3日間で開催を予定している。この音楽祭も「熱狂の日」と同様の目的を持ち、本館事業の枠組みである鑑賞、人材育成、文化発信に加え交流&住民参加の充実を目指して実施する。地域の公共ホールが、短期間に単独でこれだけ多くの公演を実施する例はないが、全国各地のホールが運営活性化に苦慮する中、地域との関わりを重要と捉え、限られた予算と地域の演奏家を活用した音楽祭開催は意義深いものがある。

前述の音楽祭は、いわゆるクラシック音楽人口が総人口の1~2%とされる中、開催都市人口に占める有料入場者比率が、東京を除き仙台市3.9%、金沢市6.4%であり、クラシック音楽のコア以外の鑑賞者開拓に大きな効果があったといえるだろう。武豊春の音楽祭の予定入場者は、2,640名で人口比率が6.1%となっており、他音楽祭と比較して遜色は無いといえる。本公演は、クラシックとジャズをセットで実施し、2日間がクラシック、1日がジャズ公演となっている。事業計画段階から観客の意識と細分化に留意し、住民ニーズに合致した公演内容で、容易に入場券が販売できると考えていたが、マーケティング不足と広報・宣伝活動の遅れで苦戦している。中間集計の分析で明らかなことは、知名度のある演奏者に購入が集中し、特に地域で音楽文化創造活動を行っている演奏家への理解が浸透していない。鑑賞者世代、音楽分野を幅広く網羅した演奏と曲目を用意したが、チケット購入者の意識に認識されていないことは早急な対策が必要である。

購入者が進んで情報探索を行う環境づくり、公演内容を評価し購買を決定するよう働きかけたい。現在、音楽祭の運営に当たる事務局、実行委員会では3日間の運営に向けた協議を行っているが、チケット販売以上に調整が困難である。将来的には知多半島全体の「ペニンシュラ音楽祭」へ繋がることを期待しているため、公演までの1ヶ月、音楽祭成功に向けた取組みを強化したい。本館にとって観客動員が公演の一つの評価であるが、それ以上に3日間34公演の運営を実現することも評価されて良いだろう。