― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2月号 経済不況化の自治体文化事業

館長 竹本義明

2008年後半に米国に端を発した経済不況は、2009年の世界の経済に深刻な状況を作り出し、日本においても製造産業を中心に減産や人員削減が行われ、今後関連企業に大きな影響が出てくることが予想されている。特に自治体では企業からの税収の落込みにより、文化・芸術関係の予算削減が顕著になるであろう。また、不況時には企業の広告関連予算が真っ先に削減対象となり、文化・芸術分野に関わる実演家、作家等の仕事量の減少、単価の切り下げにより厳しい環境におかれることが、過去の不況時の社会状況から明らかである。

このような状況こそチャンスと捉える考え方もあるが、文化施設・ホールが事業について新しい発想で文化事業を行うことの可能性を考えた場合、キーワードとしては、「若手演奏家の登用と外部資金の導入」が最適な方法として考えられる。しかし、演奏家及び文化施設・ホール双方ともに観客動員への確証が得られず、公演企画が停滞し実行力が発揮されていない。いわゆる芸術鑑賞事業で、入場者がチケット購買を決定する要素は、出演者の知名度、演奏曲目への興味などであり、無名の若手演奏家の演奏会実施には事前のマーケティングが必要不可欠であり、場合によっては学校・社会教育団体との連携によるアウトリーチの実施や、主催者の鑑賞者へ向けた積極的なアプローチが必要である。

米国では、文化事業の多くが民間からの寄付によって支えられており、先日のニュースによればニューヨークのカーネギーホールでは、年間34億円の寄付金を集めていたが、前述の経済状況で寄付金の減少により、事業の見直しが行われることとなった報道されていた。日本も従来からの自治体による補助金に加え民間からのパートナーシップが重要となっている。90年代から始まった民間の資金を活用して、社会資本を整備しようという考え方としてPFI方式(Private Finance Initiative)があるが、公共施設等を民間資金等の活用で民間事業者が自らが企画・設計・建設・維持管理・運営し、公共サービスを住民に提供する民間主導型の事業方式で、主にハード施設での取組みに活用されている。

現在、公共文化施設において実演に関するPFI方式導入の事例が見当たらないが、今後取組みが行われると考えられる。本館が実施しているNPOたけとよに対する事業委託はPFI方式と考えられるが、NPOが企画段階から参加しており、むしろPPP(Public Private Partnership)に近く、現在のところ効率的で住民に対するサービスとしての付加価値が実現されている。しかし、事業のリスク分担について特に事前の取り決めが無いことが今後の課題であると考えている。施設に関わる管理・運営の環境が、行政と民間のパートナーシップによるメリットを求める声が強くなっており、特に事業運営について適正なシステムの検討が望まれている。