― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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3月号 武豊ビエンナーレ2008の評価

館長 竹本義明

「武豊ビエンナーレ2008<武豊春の音楽祭>」の評価について考える場合、公立文化施設の活動及び整備の社会的合意に照らし合わせ、様々な項目にわたって評価を行う必要がある。本館は、今まで事務局が作成する実績報告書、NPO法人武豊文化創造協会が作成する年報、それに館長がアニュアルレポートを作成してきた。これはあくまでも自己評価であり、将来的には評価基準の設定や評価の仕組みづくりが必要となり、外部評価の実施が求められると考えている。今回は、地域公立文化ホールの新しい取組みとして行った音楽祭の自己評価について述べることとする。

2年ごとに開催される「武豊春の音楽祭」を「武豊ビエンナーレ2008」とし2月20日から22日の3日間にわたって33公演が行われた。音楽祭終了後、参加された住民の方のご意見やアンケートから概ね良い評価を頂き、特にオープニングを飾った武豊町では初めてとなる第九演奏会では、地域で組織された合唱団が延べ20回にわたる練習と、地元演奏家による丁寧な指導により、素晴らしい演奏を披露し好評であった。有料公演を全て低料金で設定したことにより、新たな観客層の掘り起こしに一定の成果もあったと考えている。そして、地域の演奏家を動員した無料コンサートの実施も大きな反響があった。

予算的には過去の2回と同額の自主事業予算に演奏会収入を加え、1,000万円規模の予算立てとなり、入場券発売当初こそ販売に苦戦したが、結果として計画通りの収入を確保できた。運営については、3日間に集中して33公演が実施される初めての経験の中で、全てが手探りで困難な運営が予想されたが、特に大きな混乱も無く終えることができたことは、今後の会館事業運営にとって大きな成果であると同時に、貴重な財産となると考えている。文化行政の視点からは、3日間で約3,000人の住民(人口比率7.1%)の来館があり、その中で有料入場者が2,369人(人口比率5.6%)となり、クラシックとジャズという音楽祭開催コンセプトの上でも多くの住民の方の支持が得られたと認識している。

今回、音楽祭で行った有料公演における回収されたアンケート内容は、従来からのクラシック音楽鑑賞スタイルを望む聴衆から「静かに聴きたい、複数公演を鑑賞するために公演ごとに時間的な余裕が欲しい、もっと有名な演奏家を呼ぶべきである」などの意見が述べられた。また、「空席が目立つ公演があり宣伝が下手である」という指摘もあったが、通常の公演事業を含め改善を行なう必要を感じている。2年後に開催する音楽祭では、さらに充実した内容を準備して、頂いた意見を考慮しながら「武豊ビエンナーレ2010」を実施したいと考えている。