― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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8月号 韓国の文化政策、大邱市の現状について

館長 竹本義明

7月2日から8日まで韓国大邱市で開催された「第3回国際ミュージカルフェスティバル(DIMF)」に参加してきた。DIMFは、6月 15日から 7月 6日まで22日間にわたって大邱オペラハウスなど 主要公演会場10カ所で開催され、大邱広域市が主催し社団法人大邱ミュージカルフェスティバルが主管、文化体育観光部が後援するイベントである。大邱市は地域の豊かなハードとソフトインフラをもとに、創作ミュージカルの活性化と人材育成及び底辺拡大を通じて公演文化都市としてのイメージを高めて、市民の生活の水準向上に繋がる余暇文化のため、3年前からフェスティバルを開催しており、今年が3回目となる。

内容は、国内外からの招聘ミュージカル8作品と創作支援ミュージカル5作品、そして国内外大学生ミュージカル9作品、自由参加2作品など24作品の公演が行われた。期間中の公式行事として、ミュージカルフェスティバルの開幕前に行事の開催を記念する前夜祭が 6月 13日コオロン野外音楽堂でミュージカルスターたちのガラ・コンサートが開催され、6月15日の開幕公演後、開幕記念レセプションが大邱オペラハウスで行なわれた。最終日7月 6日にはミュージカルスターたちが参加して今年のミュージカル賞、DIMF創作ミュージカル賞など8個部門を表彰する第3回大邱ミュージカルアワードが啓明アートセンター で開かれた。付帯行事として歌、ダンス、演劇など多様な公演が実験性を追求する自由な形で開催され、ミュージカル展示会、ショーケースなど多様なプログラムも用意されていた。

今回のDIMFには、第1回目に引き続き日本から名古屋芸術大学ミュージカルコースが招聘され、韓国内の大学生が演ずるミュージカルと競う形で公演を行った。ミュージカルの3要素は歌、演技そしてダンスであるが、韓国では歌に力量が認められるものの、ダンスについての未熟さが目立った。公演会場となった啓明大学アートセンターは昨年開館した新しいホールで、1995人収容のクラシックから様々な舞台芸術まで公演可能な多目的ホールである。舞台はオペラハウスの舞台機構と十分な舞台スペースが設置されており、多くの大邱市内の劇場・ホールの中で稼働率がトップクラスであると館長が述べていた。また、授賞式では韓国文化長官が国の重要な文化政策にミュージカルを位置付けると述べていたことが印象に残った。2006年の世界各国の国家予算に占める文化関係予算の比率(文化庁HP)を見ると、韓国がフランスを抜いて第1位であり、その発展は驚きである。今まで我が国の文化芸術関係データは欧米との比較でのみ表記される傾向があったが、韓国のハードの充実とともにソフト面への取組みが際立ち、国と自治体が連携した文化政策の勢いは今後も止まることはないであろう。