2013年 1月号 知多半島春の音楽祭の始まり
1年間にわたって準備してきた知多半島春の音楽祭が、1月10日の井上道義指揮&オーケストラ・アンサンブル金沢によるニューイヤーコンサートで開幕し、他に常滑会場のYORU CAFEで新春太鼓祭も行なわれた。
2ヶ月半にわたって繰り広げられる演奏は週末に多くのコンサートが予定され、79会場で延べ294公演が行なわれることになっている。音楽祭の期間の長さや会場と演奏団体の多さは、他に類を見ない規模となっている。
今年に入り、音楽祭の運営が心配となったが、各市町に実行委員会が発足してから、演奏団体が独自のチラシを作成し自ら広報を担う積極的な取組みがあり、演奏者が演奏だけでなく運営に関わる姿勢が見られたことで安心をしている。
今まで地域文化ホールを取り巻く環境は、会場があり演奏者がいながらその連携が必ずしも緊密でなく、限られた条件でしか演奏会が開かれなかった状況がある。それが改善されれば音楽祭開催の意義が達成されたと考えている。
11日には、文化のまちづくりセミナー第6弾として、日本音楽芸術マネジメント学会理事長で元文化庁長官の川村恒明氏により「劇場法制定の意義と今後の課題」と題して講演が行なわれた。「劇場・音楽堂の活性化に関する法律」は、実演家に関する初めての法律であり、この法律の制定によりハードとソフトが連携して芸術文化振興を推進できる環境が整った、という趣旨の講演であった。
総論的には、自治体において劇場・音楽堂の理念の明確化により、財政措置の責務、資金確保を規定すること。劇場・音楽堂に関わる人材の育成と確保に言及された。また、法律でも触れている指定管理者制度について、経済性・効率性重視のあり方でよいのか、多様な選定方法と安定的・継続的な委任への配慮が必要と述べられた。
現状の武豊町民会館の運営方法(直営であるが窓口業務と事業運営はNPOたけとよが大半を担っている)について大きな評価を頂いた。
昨年7月に武豊町民会館が避難訓練コンサートを実施したが、今年は2月8日に集団災害訓練が輝きホールで実施されることになった。知多中部広域事務組合(1市3町の消防署)が主催し、消防職員によるトリアージ(傷病の程度によりタグをつけ識別する)を取り入れた救出救助訓練等の実施となる。本館ホールでコンサート中に観客多数が積み重なり将棋倒し事故が発生し、傷病者が多数となり、迅速かつ安全に傷病者の救出援護を行なう訓練である。
昨年の避難訓練コンサートは、中部地域で初めての取組みで近隣市町からホール関係者が多数参加していただいたが、今年になり近隣の豊田市能楽堂で2月17日に避難訓練コンサートが行なわれる予定で、3月10日には多治見市文化会館が実施することとなっている。