― 芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」武豊町民会館 ―

ゆめたろうプラザ

芸術と科学のハーモニーを奏でる「創造の丘」

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2013年 9月号 文化創造プラン策定の意義

文化振興のための条例制定状況は、都道府県で53.1%、政令市で33%、中核市で18.6%となっている。そして、自治体における文化行政の指針として策定された文化創造プラン、あるいは文化振興プランの策定状況は、都道府県で82.9%、政令市で75%、中核市で51.1%、市町村では7.9%となっている。

これらの条例やプランは、自治体の総合計画との関連で策定され、最近では生涯学習基本構想との関係も加わることになるが、自治体では、財政や人口の規模により公共文化施設の運営に関わる方針が異なるものの、基本的な枠組みに共通性が見受けられる。

地方公共団体は「文化芸術振興基本法」や「劇場・音楽堂等の活性化に関する法律」に基づき、地域の文化・芸術振興のために必要な施策を定め、まちづくり、人づくりの推進のためにプラン策定を目的としている。この十数年、愛知県の市町において文化振興に関する文化創造プランの策定や中間見直しが実施されている。

長久手市は長久手文化の家が開館した1998年に、全国に先駆けて「長久手文化マスタープラン」が策定され、2001年には「小牧市文化振興ビジョン」、武豊町民会館が開館する1年前の2003年「武豊町文化創造プラン」が策定された。いずれも第2次プランの策定が終了している。

春日井市では「春日井市民文化振興プラン」が2008年に策定され、現在5年を経て文化懇話会において見直し作業を行なっている。刈谷市は、2010年新文化施設である刈谷市総合文化センターが開館する前、2008年に「刈谷市文化振興基本計画」を策定し、昨年中間改定を行なったところである。今年は名古屋市において、2010年に施行された「文化振興計画」について評価委員会で計画の評価を行った。また、近隣の東海市で新文化施設の建設計画が決定し、文化創造プランの策定作業がスタートしている。

各自治体の文化創造プランあるいは文化振興計画は、教育委員会または生涯学習課が所管部署となっているが、名古屋市は首長の任期にあわせ4年間の計画を策定し、計画終了前に事業評価を実施し次の4年間の計画を策定している。これは文化・芸術分野において評価方法が確定していない状況の中で画期的な取組みである。

自治体が策定する文化に関わるプランやビジョンは、現在まで地域の歴史・文化、文化財保護に配慮した記載が多く、本来文化・芸術を扱う文化施設の目的が曖昧になる印象がある。自治体の総合計画、生涯学習との整合性を図るとともに「文化芸術振興基本法」「劇場・音楽堂の活性化に関する法律」に基づき、独自の取組みを策定し中長期の事業スケジュールを記載することで、行政による文化政策が向上し、明確になるだろうと考えている。